株式会社方向舎

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コンサート プログラム 2001年秋

<樹の響き~チェンバロによる古雅の世界>

チェンバロは、16~18世紀にかけてヨーロッパで愛好された鍵盤楽器です。音は小さいのですが、何とも繊細で優雅でどこか懐かしさを感じさせる不思議な楽器です。 今回は前半で少し古い時代のイギリスの作品を中心に、後半は主に18世紀のフランスその他の作品をお楽しみ頂こうと思っています。土曜日の昼下がり、寛いだ気分でお聴き頂ければ幸いです。

チェンバロ   岡田龍之介


チェンバロについて

バロック時代の花形鍵盤楽器。外観はグランド・ピアノをスリムにしたような形をしており、時代、地域に よりいくつかのタイプに分けられる。
ピアノの前身といわれるが、発音の原理は全く異なる。即ち、ピアノが弦を叩いて音を出すのに対して、チェン バロはプレクトラム(爪)と呼ばれるもので弦を弾いて音を発する。
ピアノと異なり単音では音の強弱を変化させることはできず、音量もいたって小さい。 そのために18世紀には新しいピアノ・フォルテ=現代ピアノの前身に取って代わられたが、「銀の鈴を鳴らすような」繊細優美な音色に独特の魅力があり、17,18世紀の音楽には不可欠の楽器であった。
チェンバロは国によって呼び方が異なり、チェンバロ(伊・独/ドイツではキール・フリューゲルとも呼ばれた)、クラブサン(仏)、ハープシコード(英)等、いくつかの名前を持つ。
チェンバロのルーツは古く中世に求められるが、現存する最古の楽器は1521年にイタリアで(ボローニャのヒエロニム スの作)作られた。これと相前後して各地でチェンバロ製作が開始されたが、この楽器が本格的に普及するのは17世紀以降である。
とりわけ当時のフランドル地方(現在のオランダ・ベルギー)は重要で、ここで産まれた楽器を範として西欧各地で個性豊かな楽器が作られるようになった。
16世紀から18世紀末に至る300年間はチェンバロ音楽の黄金時代で、その広範なレパートリーにはハイドンやモーツァルトの作品の一部も含まれる。 (さらに今世紀の若干の作品もこれに加えることができよう。)
チェンバロが人々を魅了したのはその音色ばかりでなく、目も綾な美しい形姿によるところも大であった。側板、フタの裏、響板などには通常、絵が描かれたり装飾があしらわれ、美術工芸品としてもきわめて高い価値を有する。
本日のコンサートでは、17世紀アントワープのチェンバロの名工、ルッカースの作った楽器を基に、我が国を代表するチェンバロ・メーカー、堀栄蔵 氏が1995年に完成した2段鍵盤の楽器を使用する。

2001年10月13日
主催 : ㈱方向舎
後援 : 青木村
青木村教育委員会


★プログラム

W.バード:ソールズベリー伯爵のパヴァーヌとガリヤルド
William Byrde Pavane&Galiardo of the Earle of Salisbury

M.ピアソン:サクラソウ、落葉
Martin Peerson The Primerose,The Fall of the Leafe

T.モーリー:アルマン
Thomas Morley Alman

G.ファーナビー:古いスパニョレッタ
Giles Farnaby The old Spagnoletta

J.マンディ:マンディの喜び
John Munday Munday’s Joy

作者未詳 :ダーリング・アルマン
Anonym.Dalling Alman

G.ファーナビー:ファーナビーの休息
Giles FarnabyHis Rest

作者未詳 :コラント
Anonym.

W.バード:モンテグル夫人のパヴァーヌ
William ByrdeLady Montegle’s Paven

作者未詳 :ノウェルのガイヤルド
Nowel’s Galliard

W.バード:オクスフォード伯爵のマーチ
William Byrde The Earle of Oxfords Marche

< 休 憩 >

J.J.フローベルガー:ファンタジア 第2番
Johann Jaob FrobergerFantasiaⅡ

J.K.F.フィッシャー:シャコンヌ ヘ長調
Johann Kaspar Ferdinand Fischer Chaconne F-dur

J.S.バッハ :アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳より
Johann Sebastian Bach Notenbuch fur Anna Magdalena Bach

F.クープラン:ラ・メヌトゥ、百合の花開く、神秘なバリケード
Francois Couperin La Menetou,Les Lis naissans               Les Baricades Misterieuses

J.Ph.ラモー:ロンドによるジーグ、サラバンド
Jean-Philippe Rameau Gigue en Rondeau,Sarabande

J.デュフリ:ラ・フォルクレ、ラ・ダマンズィ
Jacques Duphly La Forqueray, La Damanzy

演奏者

■チェンバロ        岡田龍之介

演奏者のプロフィール

岡田龍之介(チェンバロ)

慶應義塾大学経済学部卒業。東京藝術大学卒業。同大学院終了。
音楽学を角倉一郎氏、チェンバロを有田千代子氏に師事。
また渡辺順生、W.クイケン、J.V.イマゼ-ル、T.コ-プマンの各氏に指導を受ける。
第13回山梨古楽コンク-ルでは審査員を務める。国内外のバロック奏者との共演を通じて、アンサンブル経験を深めるとともに、ソロ、教育活動にも力を注いでいる。
洗足学園大学講師。札幌古楽の夏音楽祭講師。

 

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