ここ数年、消費者の「安全、安心」の高まりと共に農家でも有機栽培(無農薬、無化学肥料)減農薬栽培など に取り組んでいる農家が増えています。
HPなどでは少々言い過ぎではないかと思うくらい有機栽培、減農薬栽培が全面に出ているHPもあります。
そこで、当園の農薬、肥料等を含めた安全に関する考えを書きたいと思います。

農薬について
りんご栽培においては、現在の状況では農薬を使わなければ商品として お客様に届けられるようなりんごは出来ないと思っています。
1991、92年に植物防疫協会が全国のべ95カ所でりんご、水稲、キャベツ、など主要12品目について 無農薬栽培と農薬使用の栽培試験を行い収量と出荷金額の比較を行っています。
それによりますとりんごの場合、無農薬栽培は農薬使用に比べ3%の収量しか無く 出荷金額は1%の金額にしかならなかったそうです。

一般的に、
有機=自然=体に良い
農薬=人工=体に毒

と言うようなイメージでいる方も多いと思いますが、
発ガン物質含有に関する調査で主婦とガン免疫学者の捉え方について比べた表が有ります。(抜粋)                        
主婦免疫学者
食品添加物43.5% 1%
農薬24%0%
タバコ11.5%30%
大気汚染公害9%2%
普通の食品0%35%


このように主婦の方がイメージしているのと違って専門家の見方は農薬より食品そのものに含まれる物質の方が発ガン性が 高いと見ています。

植物には、元々自己防衛機能、物質があります。微量ではありますがキャベツは49種類、 ジャガイモではソラニンと言うサリンと同じ性質の毒物が含まれているそうです。
と言うことで、無農薬栽培されたモノは農薬を使わないから絶対安全であるとは言えないのです。
もちろん、キャベツでもジャガイモでも普通の量、食べているなら問題は無いそうです。

次に現在使われている農薬についてですが農薬の登録を受けるには、 その効果のみならず、危険性や毒性などを最新の科学的技術評価の基に見極め、 専門家による評価・審査のうえ、登録されます。
特に人の健康に関する安全性確認試験は18項目に及んでいます。
最近の流れとしては、選択性が高く、低毒性、残留期間の短い農薬が多く商品化されています。
そして、登録された農薬を使用する当りんご園では、毒物劇物取扱者(結構難しい試験でした) の知識と技術を生かし使用基準に従い安全適正に農薬を使用しています。

肥料について
当園では、有機堆肥と化学肥料の併用でりんごを栽培しています。
有機無農薬栽培されている方は、「有機肥料をふんだんに使って病気や害虫に強く美味しいモノを作っています。」 と言う方が多いのですが、これにはチョット疑問が有るのです。
元々、植物が養分として吸収するのは無機化されたモノを吸収するということですから、 植物は、有機肥料を使っても化学肥料を使っても同じ様に無機化された養分を吸収するので病気や害虫に対して、 差違はそれほどないと思います。また、味に関してもその年の気象条件による要因の方が大きい感がしています。
当園では、 有機肥料は微生物による団粒化などの土壌改良及び遅効性の特徴を生かして春先に施肥し、 化学肥料は速効性及び水溶性の有る特徴を生かして春先や追肥などに使っています。
また、施肥量は施肥基準より少な目に肥料を使っています。
要は、有機肥料、化学肥料の特徴を生かし効率的に使うのが一番良いのではないかと考えています。

当園の今後の考え方
今回、この文章を書くに当たっていろいろなHPをみて歩いたのですが、 農業をやっていく上でこれから重要な課題となるのは、やはり環境問題ではないかと思いました。
地球の限りある資源を有効に使い、地球を汚染させないと言うことが 未来に向けて大切なことではないかと思います。
農業も、資源の有効活用と言う面で、都会で余った食品をコンポスト化等によりリサイクルし、 農地に肥料として返すという事がこれから必要になってくると思います。
また、有機肥料、化学肥料とも過剰施肥による地下水、河川、海の汚染を防ぐためにも適正な施肥をするという 事が必要ではないかと思います。

最後になりますが、限りある資源を有効に使い安全性の高い美味しいりんごを お客様にお届けしていきたいと思っています。
と言うことで、関りんご園に「安全、安心、美味しいりんご」はお任せくださりませ。(^o^)

参考にしたHP
市民のための環境学ガイド
農薬工業会
農業生産資材情報センター
農薬ネット