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キラは女の子です | ||
「あ、ま、待って、アスランっ」 タリアに続いて歩き出したアスランに手を取られ、ついそのまま従いそうになったキラは、一歩踏み出したところで慌てて止まる。 「キラ?」 「私、フリーダムを移動させないと。 邪魔になってるから」 「・・・どこにある?」 「アスランはダメ。 タリアさんを、これ以上待たせたらいけないでしょう。 私はすぐ、追いかけるから。 それとも、話・・・、長くなる?」 「いや。 それほど時間はかからないだろう。 だが、1人にさせるのは心配だ」 「でも・・・っ」 キラだって、彼と離れたくなどなかった。 しかし彼女の理性がそれを止める。 さらに言葉を重ねようとしたキラを、別の声が救った。 「私が、彼女に付き添いますから。 あなたは艦長の所へどうぞ」 いつの間に近寄ってきていたのか、ルナマリアが2人のすぐ前でニコリと笑む。 そのまま強引にアスランからキラを引き離した。 「大丈夫ですよ。 艦長が許可したんです。 それに、キラさんもこのままパイロットスーツでは辛いでしょう。 着替えをお貸しします」 ですから、さっさと行ってください。 そう言わんばかりなルナマリアに、キラはここぞとばかりに頷く。 アスランはキラを見て、ルナマリアを見て、もう一度キラを見た。 「1人で、平気か?」 「・・・うん」 「・・・わかった。 ルナマリア、キラを頼む」 「了解しましたっ」 敬礼をしてみせるルナマリアに頷き、キラをちらりと見やってから、アスランは踵を返す。 その背中を見送るキラの視界に、ルナマリアが立ちはだかった。 「さぁ、キラさんはあっちですよ」 「待てよ、ルナっ」 「なによ、シン?」 「キラとは話している途中だったんだ。 こっちが先だ」 「・・・聞いてなかったの? 彼女はモビルスーツの移動後、すぐにアスラン・ザラのところへ行くの。 フェイスの、彼のところへね。 シンと話していたら遅れてしまうじゃないの。 時間は出来たんだから、後にしなさいよ」 「そんなの、関係ないっ」 「関係あるわよ。 とにかく、あれ、動かすのが先だから。 でないと、あなたのインパルスだって壊れたままよ。 それじゃ、困るでしょう?」 「そんなことは」 言いかけた口が、ヴィーノの手で塞がれる。 「頼むな、ルナ。 シンはこっちで引き受けるからさ」 「了解。 さ、行きましょう、キラさん」 ルナマリアに背を押され、キラは肩越しにシンを振り返りながらも、歩を進めた。 ヴィーノとヨウランに押さえつけられたシンにはどうにも出来ない。 睨むシンと目が合うと、キラは目を伏せ、それ以上後ろを見なかった。 *** キラがフリーダムをどけると、後についてきていた整備士達がてきぱきと動き出す。 インパルスを、専用の格納庫へと移すのだ。 それを横目に、キラはルナマリアに連れられ、パイロット待機室へ。 「これ、どうぞ」 「・・・また、すみません」 「かまいません。 それより、話、してもいいです?」 「・・・話せること、なら」 自分のロッカーから予備の服を取り出し、キラに着替えさせながら、ルナマリアは興味津々という顔つきで質問を始めた。 「恋人、ですか?」 「・・・え?」 「アスラン・ザラ、ですよ。 前に幼馴染ってのは聞きましたけど。 あの人と、恋人なのかなって思って」 「・・・」 意外な質問に思わず手を止めたキラは、ルナマリアへと振り向く。 彼女は、真面目な顔をしていた。 「ま、違うって言っても信じませんけど。 でもほら、婚約者がいましたよね?」 *** next |
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