no title - 71


キラは女の子です


「・・・驚いたわ」

「すみません」



人払いされた艦長室の中。

腰掛けたタリアとその横に立つアーサー。

そして、彼らの前に立つ、パイロットスーツ姿のキラ。

じっと見つめた後、ため息とともに呟かれた言葉に、キラは思わず謝ってしまった。



「・・・いろいろ聞きたいんだけど」

「わかります」

「とりあえず、そちらに座ってちょうだいな。

 アーサー、コーヒーを。

 あなたもそれでいい?」

「はい、ありがとうございます」



落ち着けるように、揃ってソファへと移動する。

アーサーが飲み物をローテーブルに置いた。



「それで、と。

 早速だけど。

 どういうことか、説明してもらえる?」

「どういう、と言われても・・・」



説明が必要なことはわかっているのだが、何をどう話そうかと思う。

考え込んでしまったキラに、タリアがまたため息を吐いた。



「話してくれるつもりはあるのよね?」

「え、・・・ええ、それは」

「それなら、一つずつ、質問に答えてもらえる?」

「・・・答えられることであれば」



***



「シン!」



シンが格納庫に着くと、気づいたヴィーノが駆け寄ってくる。



「怪我、もういいのか?」

「ああ、平気だ」

「そっか、良かった」



ほっとしたように笑う友人に、シンも照れたように礼を言った。

と、きょろきょろと辺りを見回し、見慣れない機体に目を留める。



「あれは?」

「・・・ああ、あれな」

「キラが乗ってきたのって、あれか?」

「そう」



格納庫の端近くに、一体のモビルスーツが屈むようにしていた。

その前には、シンのインパルスがある。

片足の無いそれを目にして、シンは唇を噛んだ。

だがすぐに気を取り直し、不思議そうに問いを口にする。



「なにしてんだ、あれ?」

「いや、邪魔だからちょっとどけようかと・・・」

「あんなに大勢で?」



シンの言葉通り、キラの機体には何人もの整備士が取り付いていた。

ちょっと動かすくらい、パイロットでなくてもできる。

シンの疑問はもっともなことで、ヴィーノは肩を落とした。



「それがなぁ。

 起動できないんだよ、あれ」

「なんで?」



見るところ、コックピットは開いているようである。



「ロックされてんだよ。

 だから、そういうのが得意な奴がよってたかってるってわけ」

「それで、まだ?」

「そ、まだ」

「ふぅん・・・。

 それで、あれ見慣れないけど、なんて機体なんだ?」



何気なく訊くシンだったが、ヴィーノは見るからに身を強張らせた。

視線をやれば、あーとか、うーとか唸っている。



「ヴィーノ?」

「・・・うぅぅぅ、・・・聞きたい?」

「聞きたい」



人間、隠されれば知りたくなるのだ。

ルナマリアが隠していたのもこれかなと思いながら、シンはこくりと頷く。



「・・・わかった、言う。

 但しっ。

 いいか、ぜっっったい、興奮するなよ」

「興奮って」

「冷静にっ、落ち着いてっ、だ」

「・・・ヴィーノが落ち着けよ」

「・・・お前さ。

 あれ、見覚えないか?」

「ガンダム、だろ?

 だけど、・・・あ、んな、の」



知らない、と。

そう言おうとしたシンの言葉が途切れた。



「まさか、・・・フリーダム!?」



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