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キラは女の子です | ||
「・・・驚いたわ」 「すみません」 人払いされた艦長室の中。 腰掛けたタリアとその横に立つアーサー。 そして、彼らの前に立つ、パイロットスーツ姿のキラ。 じっと見つめた後、ため息とともに呟かれた言葉に、キラは思わず謝ってしまった。 「・・・いろいろ聞きたいんだけど」 「わかります」 「とりあえず、そちらに座ってちょうだいな。 アーサー、コーヒーを。 あなたもそれでいい?」 「はい、ありがとうございます」 落ち着けるように、揃ってソファへと移動する。 アーサーが飲み物をローテーブルに置いた。 「それで、と。 早速だけど。 どういうことか、説明してもらえる?」 「どういう、と言われても・・・」 説明が必要なことはわかっているのだが、何をどう話そうかと思う。 考え込んでしまったキラに、タリアがまたため息を吐いた。 「話してくれるつもりはあるのよね?」 「え、・・・ええ、それは」 「それなら、一つずつ、質問に答えてもらえる?」 「・・・答えられることであれば」 *** 「シン!」 シンが格納庫に着くと、気づいたヴィーノが駆け寄ってくる。 「怪我、もういいのか?」 「ああ、平気だ」 「そっか、良かった」 ほっとしたように笑う友人に、シンも照れたように礼を言った。 と、きょろきょろと辺りを見回し、見慣れない機体に目を留める。 「あれは?」 「・・・ああ、あれな」 「キラが乗ってきたのって、あれか?」 「そう」 格納庫の端近くに、一体のモビルスーツが屈むようにしていた。 その前には、シンのインパルスがある。 片足の無いそれを目にして、シンは唇を噛んだ。 だがすぐに気を取り直し、不思議そうに問いを口にする。 「なにしてんだ、あれ?」 「いや、邪魔だからちょっとどけようかと・・・」 「あんなに大勢で?」 シンの言葉通り、キラの機体には何人もの整備士が取り付いていた。 ちょっと動かすくらい、パイロットでなくてもできる。 シンの疑問はもっともなことで、ヴィーノは肩を落とした。 「それがなぁ。 起動できないんだよ、あれ」 「なんで?」 見るところ、コックピットは開いているようである。 「ロックされてんだよ。 だから、そういうのが得意な奴がよってたかってるってわけ」 「それで、まだ?」 「そ、まだ」 「ふぅん・・・。 それで、あれ見慣れないけど、なんて機体なんだ?」 何気なく訊くシンだったが、ヴィーノは見るからに身を強張らせた。 視線をやれば、あーとか、うーとか唸っている。 「ヴィーノ?」 「・・・うぅぅぅ、・・・聞きたい?」 「聞きたい」 人間、隠されれば知りたくなるのだ。 ルナマリアが隠していたのもこれかなと思いながら、シンはこくりと頷く。 「・・・わかった、言う。 但しっ。 いいか、ぜっっったい、興奮するなよ」 「興奮って」 「冷静にっ、落ち着いてっ、だ」 「・・・ヴィーノが落ち着けよ」 「・・・お前さ。 あれ、見覚えないか?」 「ガンダム、だろ? だけど、・・・あ、んな、の」 知らない、と。 そう言おうとしたシンの言葉が途切れた。 「まさか、・・・フリーダム!?」 *** next |
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