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キラは女の子です | ||
「ラ、ラクス、・・・知ってたの?」 ほのかに染まっていた頬をさらに赤くして、キラはうろたえたような声を出す。 落ち着き無く視線を泳がせる彼女に、ラクスはあっさりと頷いた。 「アスランの想いなんて、バレバレですわ」 「バ・・・っ、て、ラ、ラクス・・・」 「気づかないはず、ございませんでしょう? 本人に隠す気が、少しも無いのですから」 「・・・私は、気づかなかった、けど?」 「もちろん、それもわかっておりますわ。 でも、ご存知ないのは、おそらくキラだけです」 きっぱりと言い切られ、キラは絶句する。 そしてラクスは、さらに続けた。 「カガリさんももちろんですし。 カリダさんもキラがアスランを受け入れられるのをずっと楽しみにしていらっしゃいますわ。 ああ、子供達も皆、知っています」 「な、なんで、あの子達まで!?」 「アスランを見ていれば、誰だってわかることですわ」 そう言われ、キラは過去を思い出そうとする。 一緒にここへ来た時のアスランの様子を、だ。 特に、変わった感じは、しなかったよね? 同意しかねる、というようなキラに気づいたのか、ラクスはさらに言葉を重ねていく。 それはもう、指を折るように数え上げていった。 「ここに来るのは、キラと一緒の時だけ。 自分が来られない時でも、送り迎えは必ずする。 予定が潰れる理由は、常にアスランの仕事。 ・・・送り迎えが出来ない場合、ですわね。 こちらへいらしても、キラが席を外していると、表情が違いますの。 キラが子供達と浜辺にいれば、窓からずっと眺めていますし。 それはもう、堂々と。 あと、・・・キラ?」 さらに続けようとしたラクスは、唐突に立ち上がったキラに、口を閉じる。 「母さんも、知ってるって、言った?」 「ええ」 「帰る」 言って歩き出そうとするキラを、しかし立ち上がったラクスが腕を掴んで止めた。 おっとりしているラクスもコーディネイターである。 その行動は、普段の様子からは考えられないほど素早かった。 「待って下さいな、キラ。 ・・・恥ずかしがる必要はございませんのよ」 耳まで赤くしたキラの俯き加減の顔を覗き込み、ラクスは優しく話しかける。 「ラクスは・・・」 キラは言いかけて口ごもった。 唇を噛む彼女に、ラクスはそっと先を促す。 「ラクスは、イヤじゃない?」 「なにをです?」 「だって、アスランは・・・」 またも口ごもるキラから、ラクスは言いたいことを察した。 「婚約、といいましても、形式だけでしたのよ。 これは以前にもお話しましたけれど。 それが解消されても、特に感じるものもありませんでしたわ。 でも、友人としては好きです。 だからアスランの想いが叶って、私も嬉しいと思います」 ゆっくりと顔を上げるキラから、ラクスは手を放す。 キラは、困ったような目でラクスを見つめた。 「ラクス、私がアスランを・・・って前提で話してるよね?」 「そうですわ」 「違う可能性は考えない?」 「考えられませんわ、それは」 「・・・なんで?」 「・・・私こそ、なんでとお聞きしたいですわ。 キラがアスランを好きなことも、皆が知っておりますのに」 「そ、それは、好き、だけどっ。 いや、それは、幼馴染で親友だから当然でっ。 ・・・友情と恋愛感情は別、でしょう? 今まで、そんな風に見たことないのに」 「でも、キラはアスランが一番お好きでしたわね?」 「それは、そうなんだけど」 「自分の気持ちに自分こそが気づかないことは、ままあることです。 まあ、よろしいではないですか、そんなこと。 今、キラはアスランを好きな気持ちが恋愛感情だと自覚なさっているなら」 ふわりと。 ラクスの浮かべる笑顔が、キラの心を落ち着かせる。 しかし、ラクスの次の言葉は、キラを凍りつかせた。 「キラの子供が早く見たいですわ」 「ラ、ラクス!?」 「ああ、その前に結婚式ですわね」 「ちょ・・・っ、ちょっと、ラクス、待って!! ま、まだ結婚なんて・・・っ」 慌てるキラに、ラクスはきょとんとした目を向ける。 そして首をかしげ、さらにとんでもないことを口にした。 「プロポーズを、お受けになったのではございませんの?」 *** next |
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