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キラは女の子です | ||
「アスラン、どこに行ったんだろ・・・?」 キラが内線で呼んでも、アスランは出ない。 カガリもだ。 アスランとカガリの間に恋愛感情は無いというアスランの言葉を、キラも今さら疑ったりしてはいない。 2人が一緒なのであれば、何か事態が動いたのだろうと、キラは思った。 同時に、緊迫した事態ではないことも、自分を眠るに任せて置いたことでわかる。 だが、なぜかキラは落ち着かなかった。 おそらくは、彼女を気遣って声を掛けなかったのだろうが、眠る気にはなれない。 なんだろう? 少し考えたが、もちろん答えは出なかった。 ふぅ、と息を吐き、キラは踵を返す。 そのまま部屋を出る扉へと歩き掛けて、自分の恰好に気付いた。 あ・・・、上着・・・? ああ、あった。 壁に掛けられていた服を手に取る。 きっちりと着込み、キラは部屋を出た。 *** どこ、行こうかなぁ。 ・・・ライラさん、いるかな? できれば、人のいるところがいいと、キラは医務室へと向かう。 しかし今は真夜中だ。 一部のクルーを除き、皆休んでいて当たり前である。 まして、医師である彼女が、病人も怪我人ものいないそこにいる意味は無いのだ。 しかし。 「あれ、ライラさん・・・」 「・・・おや? どうしたね?」 「ライラさんこそ、こんな時間までお仕事ですか?」 「違うよ」 ライラは疲れたように首を横に振る。 「とても、寝る気になれなくてね」 「あなたも、ですか・・・」 「君もか? そう・・・、そうだね。 地球は、君達の住んでいる場所だ。 さぞ心配だろう」 納得したように頷いたライラに、キラは首を傾げた。 地球? 心配? 「どういうことです? 地球が、どうかしたんですか!?」 「・・・知らないのか?」 「何のことをおっしゃっているのか、わかりません。 私は、今さっきまで寝ていたんです。 目が覚めて、そうしたらアスラ・・・、アスも代表も部屋にいなくて。 それで」 「・・・聞いて、いないのか。 そうか・・・」 「教えて下さい。 地球に何があったんですか?」 「・・・いや、私が言うことじゃない。 おそらく、アスハ代表が議長あたりから説明を受けているだろう。 そちらから、聞くといい」 「オーブ、いいえ、地球に関することなのでしょう? 私にも、知る権利があります。 そんな、気になることだけ聞かされては・・・」 真剣な表情で迫るキラと、ライラはしっかりと目を合わせる。 しばしそのまま睨み合った後、目を逸らしたのはライラだった。 「私も、艦内に広まった話を聞いただけなんだ。 詳しいことは、わからない」 「かまいません。 そのお聞きになったことを、教えて下さい」 「・・・血のバレンタインは知っているか?」 「・・・ええ、もちろん。 それが?」 「あの標的となったユニウスセブンは今、デブリ帯を漂っている」 「・・・知ってます。 だけど、それがなにか?」 キラの脳裏には、かつて見た、そのユニウスセブンの光景が甦る。 思い出したくはなかった。 あそこにはまだ、あの時亡くなった人々が、眠っている。 それを、キラは間近に見た。 「それが、動き出したらしい」 「・・・動く? それは、もともと静止しているわけでは」 「ないよ、もちろん。 だがそういう意味じゃないんだ。 地球に、引かれ始めている、らしい」 「・・・地球、に?」 「そうだ」 「嘘・・・」 キラは震えだした手で、口元を覆う。 そうしないと、叫びだしてしまいそうだった。 *** next |
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