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キラは女の子です | ||
「アスラン!」 キラの部屋を出て、アスランが自室に入ろうとしたその時。 隣から出て来たカガリが、彼を呼び止めた。 「一緒に来てくれ」 手に持っていた上着に袖を通しながら歩き出す彼女に、アスランは無言で従う。 急ぎ足のカガリの横に並ぶと、彼女はチラリと横目に見上げてきた。 「どこにいたんだ? てっきりもう、休んでいると思っていたぞ」 「キラを寝かしつけてきた」 いろいろと省いた説明だったが、結果的には間違っていないだろう。 現にキラは、それはもう気持ちよさそうに眠っているのだ。 その寝顔を思い出して、アスランは苦笑を零す。 「・・・なんだか、嬉しそうだな。 ってことは、キラは大丈夫だったわけか」 「怪我は薬が効いていたからな」 「いや、そうじゃなくて。 戦闘を見て・・・。 平気そうにしていたが、あいつはすぐ強がるからな」 「ああ、そういう意味か。 それは、どうやら杞憂のようだ。 そういう意味ではな」 「・・・他にも問題が?」 カガリは思わずというように足を止めた。 合わせるようにアスランも止まり、斜めに彼女を見下ろす。 「まだ、問題はある。 君もわかっているはずだろ?」 「それは・・・」 「だが、キラも自覚していた」 「キラが!?」 驚きを露わにするカガリに、アスランは眉を寄せた。 「カガリ。 君はもう少し、感情を出さないようにするべきだ」 「わかってる! いいだろう? ここには私とお前しかいないんだ。 お前と違って、私は得意じゃないんだからな。 作りっぱなしじゃ、疲れる」 プイッと余所を向くカガリは、拗ねた子供のようである。 その様子に、アスランは声に出さずに笑った。 こうしてると、やはりキラに似ているな。 普段は思い出さない彼女たち2人の血の繋がりをアスランは思う。 見かけのことではなかった。 育った環境は全く違うのに、彼女達はたまに、とてもよく似た仕草をする。 しかしキラならともかく、一国の代表がこれでは・・・。 「だがここは、オーブじゃない。 敵ではないが、身内とは違う。 少なくとも、いつ誰が通るかわからないこんな場所は、論外だ」 「・・・確かに、そうだな。 悪い」 素直に反省するカガリに、アスランは微笑んだ。 だがすぐに、それは真摯な表情に取って代わる。 「キラの話は、後だ。 いったい、何があったんだ」 「デュランダル議長から内線が入った。 問題が、起こったらしい」 「問題?」 「今度は、戦闘だのの話というわけじゃないとは言っていた。 しかし緊急事態で、と。 ただ、すぐにでも対応できるような事柄でもないそうだ」 それで、カガリはアスランへと連絡を取ろうとしたが、応答が無かった。 その時、彼はキラと彼女の部屋にいたのだから、当然である。 そうとは知らないカガリは、首を傾げながらも、1人で行こうとしていたのだ。 「・・・悪かった」 「いや、いいさ。 キラを放っておくわけにもいかないからな」 「人のことは、言えないな、俺も。 カガリの護衛が任務だというのにな」 「この艦で、私に何がある? あるとすれば、平和が破られた時だが、ここには議長もいる。 第一、本当にそうなれば・・・」 「俺1人では、守りきれるものじゃない」 *** ぐっすりと眠っていたはずのキラは、唐突に、むくりと起きあがる。 「ん・・・、ア・・・ラ・・・?」 ベットの上でペタンと座り、手で目をこすりながら、部屋を見回した。 目当ての人物がいないと認識すると、キラは床に降り立つ。 「・・・なんだろう?」 なぜか、胸騒ぎがした。 *** next |
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