誰がために−18


キラは女の子です


「あの3機、似てないか?」

「え?

 ・・・ああ、うん。

 言われてみれば」

「何の話?」



サイが指さす先には、3体のモビルスーツ。

頷き合うサイとトールに、キラが割り込んだ。

彼らは今、パイロット待機室から格納庫を覗いている。

ここからなら、格納庫内がよく見えた。



「キラ、ほら。

 あれが、そのヘリオポリスからのだろ。

 それを支えているモビルスーツがさ。

 俺達が乗ってきたのと似てるかな、って」

「・・・そうなの?」



ガラス越しに眺めていた2人とは違い、キラは興味無さそうに椅子に腰掛けている。

代わりにキラの横に座ったアスランが口を開いた。



「そのモビルスーツも、モルゲンレーテにあった。

 地球軍のものだ。

 仲間が、奪取してきた」

「俺達は、全員成功したってことだな。

 あの戦艦は惜しかったけど」

「全員無事なのが、一番だ」



ラスティが不満そうに付け加えた一言に、ミゲルが諭すように言う。

肩を竦めて立ち上がったラスティは、サイの横から格納庫内を見下ろした。



「ま、そうだけどね。

 なぁ、なんだって3人揃って来たんだと思う?

 あれ持ってくるだけなら、1人で十分だろう」

「さぁな。

 隊長に呼ばれたか・・・。

 それとも」



ミゲルは対面に座るキラにニヤッと笑う。



「キラに興味があるのかもな」

「って、あいつら、キラのこと知ってるのかよ?

 ヘリオポリスから直接来たんだろうから・・・。

 ガモフにも寄ってないんだろうし」

「俺が教えた」

「ミゲル?」



あっさりと言うミゲルに、アスランが顔を顰めた。

ミゲルが、何か含むようにアスランとキラとを見比べている。

それが、あまりいいことを考えているようには見えないからだ。



「何を言った?」

「いろいろとね。

 そんな顔するなって、アスラン。

 嘘は言ってないからな」

「へぇ・・・見たまま言ったんだ?

 なら、あいつら、興味津々だな」

「・・・面白がっているな」

「当たり前だろ」

「そうだよなぁ。

 このアスランが、まさかさ。

 女を攫ってくるとは」



揶揄と言うには、はっきりと告げる2人に、アスランはため息を吐く。

と、ふと横のキラが戸惑っているのを見て、安心させるように微笑みかけた。

それに応えるように、キラも微笑む。



「やってられねぇなぁ、もう」

「それより、あれはアスランの偽物なんじゃないか?」

「そうかもな」



2人の世界を展開しているキラとアスランに、ラスティとミゲルは処置無しとばかりに肩を落とした。

と、そこでトールが声を上げる。



「あ!

 人が出てきたみたいだよ!」

「ほんとだ。

 そういえば・・・。

 なんで、あの一隻だけここへ?」



今さらながら、それを聞いていなかったと、サイがラスティに問いかけた。

けれど、ラスティは知らないとあっさり言う。



「エンジントラブル・・・らしい。

 無事に射出されたまでは良かったらしいんだが。

 慣性で流されているのを、ニコル・・・仲間が見つけた」



サイの問いに答えたのは、ミゲルだった。

だがその時、またもトールが声を上げる。



「ミリィ!」

「ミリィ?

 ・・・ほんとだ、ミリィ」

「・・・え?

 ミリィがいるの!?」



それまでアスランのことばかり見ていたキラが、バッとガラスに張り付いた。



「どこ?」

「ほら、あそこだよ!」

「・・・ミリィ!フレイも!」

「キラ、知り合いなのか?」



意外な姿に、キラもサイもトールも、驚きで声も出ない。

キラはアスランへの問いには背を向けたまま大きく頷くことで答えた。



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