キラ Ver.B−22 | ||
キラは女の子 | ||
「いったい・・・?」 格納庫に着いたニコルは、異様な光景を目にすることとなった。 「なんの騒ぎです? 戦闘配備ではなくても、皆さん仕事が途中なんじゃないですか?」 怪訝な顔で、しかしまだ気持ちが落ち着かないニコルは珍しく険のある声を出す。 すると、一つの機体に群がっていた整備員達は、慌てたように散っていった。 残ったのは、2〜3人の整備員や技術者らしき人間と、もう一人。 「ディアッカ」 「よぉ、ニコル。 どうした?」 「どうしたって・・・」 聞きたいのは、こちらですよ。 そう言いたいのを飲み込み、ニコルは足早に近づいた。 「ストライク、ですか。 これに乗ったキラさんに、僕らは4人がかりでも・・・」 ニコルは、MSハンガーに固定された白いモビルスーツを見上げる。 語尾を濁したニコルに、ディアッカが真剣な顔を向けた。 「それだ」 「・・・は?」 「キラが、優秀なのか。 俺達が不甲斐ないのか。 それとも、このストライクの出来がよほど良いのか。 どう思うよ?」 「どうと言われても。 キラさんが優秀なことは、違えようもない事実でしょう。 ですが、訓練もせずにというのは・・・。 信じがたいことではありますね。 機体性能の差、でしょうか?」 困惑気味にニコルが答えると、ディアッカは首を振って否定する。 「俺達の機体と、これはほぼ同時に開発されたもののはずだろう?」 「え、ええ、おそらく」 「他のより、ストライクだけが飛び抜けて高性能なはずは無い」 「・・・そう、ですね。 汎用性の高い機体とは思いますが。 それだけで戦闘に有利とはならないでしょうね。 ただ、ソフト面ではどうなんですか? 初期のシステムは全くと言って良いほど使えませんでした。 ストライクのシステムだけが違ったのでは?」 彼らが帰艦して、充分な時間が経過している。 とっくに解析できているはずと、ニコルは傍らに立つ技術者に視線を送った。 「わからないんですよ、まだ」 「ロックが解除出来ないんだとさ」 「・・・キラさんが? わざわざ、そんなことをしたんですか?」 「そうとも言えますが・・・」 尖った声を出すニコルに、技術者はしかし、曖昧に否定する。 「彼女以外に、いないでしょう?」 「最初は、ロックされていなかったんです。 システムは正常に動作していました。 起動から確認したくて、一度ダウンさせたら、この始末で」 「で、今、イザークが挑戦してるとこ」 言われて耳を澄ませば、ニコルにもイザークの声が聞こえた。 この、とか。 くそっ、とか。 罵るような言葉に舌打ちが混じっている。 進展、無いみたいですね。 頭を冷やすはずが、余計に血が上ってますよ。 まったく。 *** キラからベットに誘われて、しかしアスランにはそう出来ない事情があった。 もちろん、キラにその気があるようには見えないから。 アスランの口からはっきり聞けば、キラからは違う答えが返ってきたかもしれないが・・・。 だが、ともかくも。 キラには休息が必要であったし、アスランはそんなことをしても眠ることなど出来るはずもない。 ずっと手を握っているからとなだめて、キラから寝息が聞こえてくるまで、アスランはその枕元に座り続けていたのだ。 眠りにおちたキラの額に口づけて、アスランはベットから立ち上がる。 「ゆっくり、お休み、キラ」 乱れた衣服を正し、扉を内側から開けないように細工して、部屋を出た。 *** 「退け!」 「イザーク!? 「アスラン、イザークを止めてください!」 ディアッカ、ニコルまで、どうしたんだ?」 通路を格納庫へと歩いていたアスランは、前方から走ってきたイザークの形相に驚いて、足を止める。 そして、思わず言われるままにイザークを捕らえた。 イザークはまるでアスランが目に入っていなかったようである。 「放せ!」 「く・・・っ」 さすがにすぐに振り払ったが、追いついてきた2人にまで掴まれ、やっと動きを止めた。 *** next |
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