望み−1


TV本編第2話
ミゲルがジンを自爆させた後から

ラスティはいません
ミリアリア達は巻き込まれませんでした
キラは女の子です


動かなくなったジンを自爆させたミゲル。

彼は、その衝撃で地球軍のモビルスーツ・ストライクが吹き飛ぶのを見た。

さらに、爆風が収まっても動こうとしないそれに、搭乗者が気を失っていると気づく。

好機を悟ったミゲルは慎重に近づき、コックピットを外側から開けた。



「・・・2人?」



そのコックピットには、2人の人間が縺れ合うように倒れ伏している。

さらによく見ると、1人は女でもう1人は子供だ。

しかも、子供のほうが、女を庇うような体勢である。



「アスランは、地球軍の兵士が乗ってると言ったよな?

 まぁ、地球軍では女の士官もいるっていうし・・・。

 だが、こんな子供もか?」



首をかしげながらも、とりあえず女の方に拘束具をつけた。

そしてシートの横に退かし、子供・キラをそっと抱え上げる。



「どう見ても、ただの子供だな。

 やたらと細くて、軽い・・・」



ミゲルは、腕の中のキラの顔を覗き込んだ。



「んんん?

 男、だよなぁ?」



キラの髪型や服装は、少年のように見えるが・・・。

やや幼さの残る、だが整ったその顔立ちは、少女に見える。

好奇心に負け、その胸元に触れてみた。



「・・・女か。

 ここじゃ、女の子がこんな格好するのが流行ってるのかな?」



立派な痴漢行為である。

避難警報の最中、ギャラリーが皆無であったことは、幸いだ。

・・・ザフト軍にとって。



ミゲルはキラを抱えたまま、器用に地に降りた。

見回すと、そこは小さな公園のようで、近くにベンチがある。



「ここでいいな」



キラをそのベンチに寝かせ、ミゲルはもう一度ストライクに昇った。

今度は、もう一人の女を肩へと担ぎ上げる。



ミゲルは子供には親切だが、敵軍の兵にまで気を遣ったりしない。

だいたい、ミゲルはこの女のせいで、ジンを潰してしまったのである。

とんだ失態の原因を、多少乱暴に扱っても文句はこないだろう。

・・・ほんとうはキラの方なのだが、ミゲルがそう思うのも無理ないところだ。



ミゲルは女をベンチの横に転がし、キラの横に屈んだ。

女を庇ったらしいキラは、体中に打撲と擦過傷が見受けられる。

ざっと容態を見て、とりあえず問題はなさそうだと判断した。



「大丈夫そうだな」

「何をしているの!止めなさい!」



割り込んだ声に、ミゲルはさっと銃を向ける。

拘束されたままの女・マリューは、不自然な体勢のまま、ミゲルを睨んでいた。

今目覚めたばかりのマリューには、ミゲルがキラに何をしているかわからない。

ただ、そこにいるのが敵兵で、おそらく、先ほどの戦闘の相手だとはわかった。



「名前は?」

「・・・」

「地球軍だな。

 こっちの・・・」



ミゲルは寝ているキラを示す。



「この子も、地球軍なのかな?」

「違うわ!

 その子は、ただの民間人よ。

 地球軍は、私だけ。

 彼女には手を出さないで頂戴!」



必死で言い募るマリューの様子に、ミゲルは好感を持った。

まぁ、地球軍にしては、ということだけれど。



「わかってるさ。

 子供は守ってやるもんだ」

「それにその子は・・・

 たぶん、あなた方の仲間よ」

「・・・は?」

「コーディネイター。

 知ってるでしょう、ここはオーブのコロニーよ。

 少ないけど、コーディネイターもいるわ」



マリューの言葉に、改めてキラをまじまじと見る。



「・・・ああ。確かに言われてみれば。

 妙に綺麗な顔してるし、細っこいわりには筋肉が発達してるな。

 そうか、コーディネイターか・・・。

 ま、こいつのことは後にしようか。

 最初の質問に戻るが、名前は?」

「地球連合軍大尉、マリュー・ラミアス」

「大尉、ね。

 捕虜として連れて帰るのも、いいかな」

「私を?どうやって?」

「・・・そうなんだよな。

 拘束していても、あんたと同乗するのは危険だしなぁ」



このお嬢ちゃんのこともあるし、と。

ミゲルは思案顔でため息を吐いた。



*** next

アスキラなのに、主人公が出ないし・・・
ミゲルに変なことさせてごめんなさいぃぃぃ
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