望み−5 | ||
キラは女の子 | ||
「さて、着いたぞ」 ストライクをモビルスーツハンガーに固定し、ミゲルはコックピットを開ける。 もちろんキラのために、格納庫内の空気を確認してから。 「さ、おいで」 「はい」 先に出たミゲルが差し出す手に掴まると、キラはゆっくりコックピットを出た。 それでも流されそうになるキラを、ミゲルが上手に支える。 「ミゲル、なんだそいつは?」 間近から掛けられた声に、キラがビクッとしてそちらを向いた。 と、その目が見開かれる。 き、綺麗・・・ すっごい、サラサラの銀の髪っ。 男だよね? 綺麗でも、女っぽいわけじゃないから。 やっぱりコーディネイターって、美形の質が違うんだわ。 もっと小さい時なら、さぞ可愛いかっただろうな。 アスランと並べてみたかったかも。 目の前の人物を勝手に幼くし、記憶にあるアスランと並べてみた。 ・・・・・・・・・か、可愛いっ ミリィに見せてあげたいっ キラはキラ以上に可愛いものが好きな、ヘリオポリスでの友人を思い浮かべる。 端から見れば、キラも同じくらい可愛くて綺麗なのだが、本人には自覚がない。 「おーい、キラ!?」 「・・・ふぇ?」 ミゲルに呼ばれ、キラは目を瞬いてミゲルを見た。 う〜ん。 ミゲルも可愛かっただろうな。 でも、アスランとこの人は群を抜いてると思うな。 それとも、プラントにはこんな人がいっぱいなのかな? 「おい、ってば!」 「は、はい! な、なんです?」 再度の呼びかけに、やっとキラが現実に戻って慌てる。 「聞いてなかったな?」 「う・・・、すみません。 ちょっと考え事をしてしまいました・・・」 怒った顔のミゲルに、キラも現状を思い出して謝った。 嫌われたくないと、キラの目に涙が滲んでしまう。 反省、と顔に書いて見上げてくるキラに、ミゲルはため息を吐いた。 「ああ、まぁ、人の話はちゃんと聞くようにな。 宇宙じゃあ、ちょっとした気の緩みが危険になるんだ。 考え事は、時と場所を選べな」 「はい。ごめんなさい」 「もう、いいよ。 で、こいつらを紹介するから」 そう言われてもう一度先ほどの人物を見ると・・・ 増えてる。 対照的な2人ね。 でも、この人は私の趣味じゃないな。 ・・・って、そうじゃないでしょ、私っ。 「銀髪がイザーク・ジュール。 金髪が、ディアッカ・エルスマン。 2人とも俺の後輩で、キラよりひとつ上だな。 で、この子はキラ・ヤマト。 ヘリオポリスで拾ってきた。 可愛いだろ。 お前ら、いじめるなよ〜」 可愛い、の一言に、キラはうっすらと頬を染める。 イザークとディアッカは、ミゲルのふざけたような紹介に顔を顰めていた。 「あ、あの。 キラ・ヤマトです。 ミゲルさんに助けてもらいました。 宜しくお願いします」 「・・・女?」 「おいっ、イザークっ。 失礼だろうが。 どこをどう見ても、女の子だろう」 「別に男に見えると言っているわけじゃない」 「当たり前だっ。 ごめんな、こいつ悪気は無いんだ」 「あ、いえ」 「俺はディアッカ。 キラって呼んでいいか?」 「はい。よろしく、ディアッカさん」 「イザークだ」 「よろしく、イザークさん」 銀髪で綺麗なイザークさんと、金髪で陽気そうなディアッカさん。 ほんと、軍人のイメージが変わってしまうな・・・。 「じゃ、俺はキラを連れてくから。 お前らは、仕事に戻れよ」 「え?ミゲルさん、私・・・」 「一人で行けるとか、言うなよ? 一応軍艦なんでね。 民間人を一人にはできないんだ」 肩を竦めてみせるミゲルに、キラも申し訳なさそうに視線を返した。 *** next |
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キラが変です・・・ どうしよう? |
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