望み−2


キラは女の子


「痛い・・・」



ふっと目覚めたキラは起き上がろうとして、節々の痛みに動きを止めた。



「なんで・・・?」

「気が付いたか」

「!」



仰向けになっているキラの頭上からの声に、驚いたキラはぱっと身を起こす。

またしても、体が痛んだが、それどころではない。

痛みを堪え、上体を捻るようにして、声の主を見た。



「あ・・・」



キラは自分に向けられた銃口に、息を呑み、僅かに身を引く。

そして、相手の自分を観察する目に気づいた。



「あなた、は?

 私は、どうして?」

「そりゃ、こっちの科白だな」



銃を持つその男は、にっと口の端を上げて見せると、銃を下ろした。



「俺は、ミゲル・アイマン。

 ザフト軍のパイロットだ。

 お前は?」

「私、は・・・

 キラ・ヤマト、学生です」

「学生?ほんとに?」

「そうです・・・、なにか?」



覗き込むように顔を近づけてくるミゲルを、まっすぐにキラは見返す。



「学生が、なぜあんなところにいたんだ?」

「あんなところ?」

「モルゲンレーテの工場区。

 この女に聞いたよ。

 銃撃戦の中にやってきたってな」



ミゲルが指し示す先を見たキラは、目を見開いた。

見覚えのある女性が、拘束された状態でこちらを見ている。



「あなたは・・・」

「巻き込んで、ごめんなさいね」

「そうか、私・・・」



さっき遭遇したことや、自分のやったことを思い出し、キラは身を震わせる。



「それで、質問に答えてくれないかな?」

「あ、は、はい」



平和に暮らして来ただろう少女の衝撃に気遣いながらも、ミゲルは優しく訊いた。

キラもミゲルの様子に、緊張を緩める。



多分、この人達は敵同士だから、この女の人の扱いは・・・



キラの乗ったモビルスーツが地球軍のものであることは、起動画面を見ていたので知っている。

だから、この女性は地球軍の関係者だ。

そしてミゲルは自分でザフト軍だと言っている。



「私は今日・・・」



***



「ふ〜ん。

 とんだ災難だったな、お嬢ちゃん」



キラの話を聞き、ミゲルはキラの頭を撫でた。



「しかし、かなり無茶だぞ。

 外で戦闘してるの、知ってたんだろ?

 まぁ、その女の子を優先してやる行為は、褒められるべきことなんだろうが。

 そんな時は、自分を大事にするもんだぞ」

「あの・・・、その子供扱い、止めてもらえませんか?

 私、もうじき16才です」

「って、今15!?」



素っ頓狂な声を出したミゲルは、キラをよくよく見直す。

気を失っていた時も、目を開けた今も。

まだまだ、あどけない顔をしている。



これで、ねぇ。

ま、確かに体つきはそれなりに・・・



「15才、か。

 コーディネイターなら、確かに大人扱いだが。

 俺より年下なんだから、文句を言うなよ。

 で、経緯はわかったから・・・」



キラを軽くいなし、ミゲルは顔つきを改めた。



「お前、これからどうしたい?」

「どう、って?」

「俺はこのモビルスーツを、母艦に持ち帰らなくちゃならない。

 この女は、捕虜にするのは手間なんで、ここに置いていく。

 問題は、お前だ。

 警報レベルが上がって、もうシェルターには入れなくなってる。

 だから選択肢は、二つ。

 この女と一緒に、地球軍の救助を待つ。

 ・・・これは、コーディネイターのお前にはあまりお勧めしないがな。

 あとは、俺と来る」

「あなたと?」

「身の安全は保証してやるよ。

 俺達が巻き込んだ民間人だ。

 騒動が済めば、帰してやれると思う。

 どうだ?」



*** next

注・ミゲキラではありません

私、ミゲルってもっと年上だと思ってました
まさか18才とは・・・
TV本編にちょっとだけ映る
ミゲルの家族の男の子が
ミゲルの弟か息子か?ということだったので
てっきり20代前半くらいだと思いこんでました
それでも年上なことには変わりがないので
このお話的には、まぁ、いいことにします
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