アスラン (TV本編第38話)


地球軍が引き上げた後のアスランとキラの会話から


『キラ、話がしたい。』

「アスラン・・・」



フリーダムとジャスティスは、向かい合うようにして、地表に降り立った。

ラダーで降りたキラとアスランは、ゆっくりと相手に近づいていく・・・。



すると、距離を置いて様子を伺っていたオーブ兵達が銃口を上げた。

ザフト軍のパイロットスーツを着た、アスランに向けて。



気づいたアスランはチラッと横目に見たが、気にせず歩みも緩めなかった。

代わって、キラが彼らを制止する。



「彼は敵じゃない!」



狙いが外されたのを確認しながら、キラもそのまま歩いていった。

互いに、手を伸ばせば届く位置で、立ち止まる。



二人の脳裏に、記憶が蘇る。

ヘリオポリスで。宇宙・・・ラクスの受け渡しの時。

そして、オーブ・・・。

ヘルメットを、柵を挟んでの再会だった。

望みながらも、相手の手を握れなかった。



言葉が出ず、ただ見つめ合う。



「アスラン」



長い、長い沈黙の後、キラはアスランに笑いかけた。

それを見て、アスランもやっと動く。



「キラ・・・」



アスランは両手を伸ばし、キラの頬にあてた。



「ほんとうに、キラなんだな?

 生きて、いたんだな?」

「そうだよ、アスラン。

 僕は生きている。

 ・・・アスラン!?」



キラの目の前で、アスランの翠の瞳から、涙が溢れ出した。



「ア、アスラン、どうしたの!?」

「キラ!」



アスランは昔から、キラに涙など見せたことがない。

いつだってキラばかりが泣いていた。

キラは初めて見るアスランの涙に、慌て、狼狽える。

そんなキラを、アスランは力一杯抱きしめた。



「アスラン?」

「キラ、キラ、よかったっ!

 死んだと、殺してしまったと。

 俺は、なんであんなことを・・・っ!」

「アスラン・・・」



アスランの背に腕をまわし、キラは抱き返す。

キラの瞳からも、涙がこぼれ落ちた。



「ごめんね、アスラン。

 僕は、君をそんなに苦しめたんだね。

 泣かないで、アスラン。

 やっと会えたんだよ。

 もっと顔を見せて」



アスランは腕を緩め、キラの顔を見てその涙に気づく。

指で、キラの頬を濡らすその涙をそっと拭った。

そして、ゆっくりと顔を近づける。

キラにもアスランが何をしようとしているかわかり、目を閉じた。



二人の唇が触れ合う。



一度離し、見つめ合った後、もう一度。

今度は、深く唇を重ねた。



互いの背にまわした腕に力を込める。

もう、離れたくないというように。



***end

38話「アスラン」の感想は
カガリに邪魔されたーっということで
こんな感じになりました
ギャラリーの目前でラブラブして欲しかったぞ、と
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