偽り−33


キラは女の子


「キラ、ちょっと来てくれないか?」

「あ、あ、あ、アスラン!?」



突然扉が開き、アスランがキラ達のもとに現れた。

トールは一人、別の部屋に引き上げている。

キラはミリアリアとカガリの部屋でおしゃべりをしているところだった。

話題の中心は、もちろんキラとアスランのこと。

他の2人に問いつめられていたキラは、そのアスランを見て、声が裏返ってしまった。



「・・・どうかしたか?」

「あ、なんでもないよ・・・っ」

「そうか?」



不思議そうにキラを見るアスランに、キラは必死で否定する。



今していた話なんか、アスランに言えないよぉ・・・。



「そ、それより、どこへ行くって?」

「ああ、悪いが格納庫まで来て欲しいんだ。

 やっぱりストライクのロックが解除できなくてな」

「あ、そか」



ついいつもどおり終わらせちゃったから。

そのままロックしちゃったんだ。



「楽しそうなところ、悪いな。

 君らも、くつろげているようでよかったよ」



くすくすと笑うアスランに、キラも、ミリアリアとカガリも顔を赤らめた。

アスランが入ってきた時、ミリアリアをキラが追い回すようにバタバタ走り回っていたのだ。

カガリは、そんな2人を面白そうに傍観して。



「キラを借りていくよ」

「どうぞ、どうぞv」

「キラも嬉しいだろ」

「ミリィ!カガリまで!」



ニヤニヤと笑いを含んでのミリアリアとカガリに、キラがさらに顔を赤くする。



「だって、ねぇ?」

「そうだよなぁ?」

「もう!・・・アスラン、行こ!」



アスランの腕に腕を絡めて部屋を出ていくキラの背に、少女2人の笑い声が響いた。



もう。そんなに笑わないで欲しいなぁ。



「いいのかい?」

「いいの!

 早く行こう。待ってるんでしょ?」

「あ、ああ」



説明してくれる気の無さそうなキラに、アスランも聞くのを諦める。

そして、先に立って格納庫へ向かった。

キラはその背を見ながら、ミリアリア達と話していたことを思い返す。



僕が、アスランを・・・って、そうなのかな?



***



「キスされた!?」

「それで!?」

「それでって・・・」



ミリアリアばかりか、カガリまで身を乗り出してきている。



「それだけだよ」

「昨夜一晩、一緒だったんでしょ?

 正直におっしゃい!」

「いや、ほんとだって」

「それじゃ、あのアスランって奴、どっかおかしいんじゃないか?」

「そうよね、恋人といて、それ以上進まないわけ・・・」

「恋人じゃないよ」



アスランを変と言われ、キラはぶっきらぼうに言った。

それを聞いた2人は、揃って眉を寄せ、顔を寄せ合う。



「どう思う?本気か?」

「めいっぱい本気ね、あれは」

「でも、普通わかるだろう?」

「キラはねぇ・・・。

 キラね、実は男の子として育ったのよ。

 だからかなぁ。

 ちょっと、女の子としての情緒に欠けてるの」

経験不足は痛いわね。



困ったような目で見つめられ、キラは居心地が悪かった。



「こそこそ言ってないで、僕にも聞かせてよ」

「まぁ、キラもそろそろわかっていい頃よね」

「というか、あいつが気の毒だな、これは」



ミリアリアとカガリは頷きあい、キラに確認する。



「キスされてイヤじゃなかったのよね?」

「またされてもかまわないんだよな?」

「彼以外、イヤなのよね?」

「んでもって、あいつの隣にキラ以外がいるのはイヤ?」

「うん」



2人揃って、大きくため息を吐き・・・



***



僕のアスランへの気持ちは、恋なの?



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