偽り−4


キラは女の子


「なに、今の?」

「いったい、なんだってんだ?」



ミリアリアとトールは初めて経験した音と揺れに、動揺していた。

不安そうに寄り添う。

キラも驚いていたが、その二人よりは冷静だった。



「あれ、なにかが爆発したんだと思うよ。

 避難しよう」

「爆発って・・・」

「あ、ちょっと君!?」



キラの言葉を聞いた瞬間顔色を変えた少女は、突然部屋を飛び出して行く。

真っ先にそれに気づいたトールが引き戻そうと追いかけた。



「だめだよ!非常時に動き回っちゃっ!」

「トールっ!」

「ミリィ!トール!・・・っ、ああもう・・・、はぁ」



ミリアリアまでトールについて行ってしまい、キラは額に手をあてて、ため息を吐く。



「トリィ、おいで」



トリィ



キラは片時も離さないパソコンの入ったバックを肩に掛け、トリィがついてくるのを確認して2人、いや3人を追った。



***



「どうしよう・・・」



もう少しで追いつく、というところで。

すぐ前の横道から爆風があり、壁が崩れたのだ。

振り返れば、来た道も崩れだしている。



「仕方ないな」



立ち止まったキラは、周りを見回し、3人とは別の道に行くしかないことに気づいた。

そちらも、彼らが向かったのとは別の工場区である。

非常時には行きたくない筆頭だ。

だが、少なくとも避難所がある。



ミリィ達が心配だけど・・・。



キラは唇を噛み締めた後、意を決して再び走り出した。



***



工場区に入るのは初めてだが、避難所への目印はあちこちにある。

迷うことなく辿り着いたキラだが・・・



既に定員に達して封鎖されていた。



「ダメか」



扉の上の赤いランプを確認し、他の場所が無いか見回す。

ここまで一直線に駆けて来たキラは、この時やっと眼下の光景に気づいた。



「何、あれ?」



キラが今いるのは、広い格納庫のキャットウォークだった。

見下ろす先には、ここにあるはずの無いものがある。



「人型の機体・・・モビルスーツ?

 まさか!だってここは・・・」



ここはオーブの、中立国のコロニーなのに。

モビルスーツってことは、ザフト軍?

それとも、オーブ軍が開発した?



状況を忘れ、キラは手すりから身を乗り出すようにして呆然と見つめた。

と、外から格納庫の扉が開かれ、二つの人影が駆け込んできたのを見て、はっと我に返る。



***



「ラミアス大尉、どうするんですか!?」

「私達で動かすのよ、決まってるでしょ!」

「しかし・・・っ!」

「このまま黙って、ザフト軍に奪取されてたまるものですか!

 少尉はイージスを!」



マリュー・ラミアスはもう部下にはかまわない。

躊躇している時間は無いのだ。

目の前に横たわるモビルスーツ、ストライクに登っていく。



そうよ、私にだって動かすくらい・・・っ!



コックピットを開けたマリューは、ふと視線を感じ、銃を構えて上を見た。



子供!?

なんでこんなところに・・・?



見下ろしているのは華奢な少年のようだ。

マリューは銃を下ろした。

なぜここにいるのかは不明だが、放って置くこともできない。

建物の外は、もう戦場だ。



「君!降りてきなさい!

 安全なところまで連れて行ってあげるわ!」

「お構いなく!

 避難所へ行きますから!」

「あっちはもう扉しか残ってないわ。

 死にたくなければ、来くるのよ」



*** next

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