独り−46 | ||
キラは女の子 | ||
「君が、レノアが言っていた娘か・・・」 パトリックは最愛の妻レノアを悼む少女キラの様子を黙って見ていた。 そしてレノアが、月との連絡が途絶えた際に隣家のことを気にしていたことを思い出す。 自分の友人夫婦と、アスランの大切な少女のことを。 今、アスランはキラの手を握り、ラクスもキラの逆の腕に腕を絡めて立っている。 「ラクス嬢は、彼女が気に入っているようですな」 「もちろんですわ、パトリック様。 容姿も性格もとっても可愛らしくて。 その上、優秀で・・・、・・・キラ?」 パトリックに向かってキラを褒めるラクスは、小声で話し掛けるキラに気づいた。 ラクスが見ると、キラは先ほどよりも顔を赤くして恥ずかしがっている。 と、ラクスはキラから腕を解き、にっこりと笑いかけ・・・ えいっとばかりにキラに抱きつき、偶然を装ってその目と耳を塞いだ。 「ラ、ラクス!?」 無重力の中、ラクスの勢いで流されそうになるキラをアスランが支えて戻す。 だがラクスはそのくらい当然、と気にしなかった。 そのまま顔だけをパトリックに向ける。 「キラを泣かせるようなことをおっしゃったら・・・ 私、許しませんわよ?」 「もちろん、俺もです」 二人の鋭い視線でパトリックが微かにたじろいだのを確認し、ラクスはいつもの笑顔に戻った。 抱きしめていたキラの頭から、ゆっくりと離れる。 「ラクス?」 「はい、キラ?」 なんでしょうか? にこにこ、にっこり。 不思議そうに名前を呼んだキラは、そのラクスの笑顔に思わず笑顔で返してしまった。 え・・・と・・・、あれ? 首を傾げているうちに、ラクスがまた腕を組んできている。 と、パトリックが大きなため息を吐いた。 「私が認めようが認めまいが関係無いようだな」 ・・・レノアがここにいたなら、お前達の味方をするのだろう。 諦めたように小さく呟き、改めて3人を見る。 「だが、既にラクス嬢との婚約はプラントに広まっている。 それを破棄するとなれば、その少女・・・ キラといったか、彼女がどう思われるか、わかっているか?」 「父上・・・」 キラを気遣うような問いに、アスランが意外な思いで見返した。 が、すぐに目を逸らし、唇を噛む。 ラクスはプラント中に慕われてる、歌姫。 そのラクスから婚約者を奪ったと言われるのは、キラだ。 「キラは俺が・・・」 「私達が守りますわ」 自分が守る、と言いかけたアスランを遮るように、ラクスが言葉をかぶせる。 「私とキラは、もう親友ですのよ。 ねぇ、キラv」 「え、ええ・・・」 キラとラクスはついこの前知り合ったばかりなのに、いつそうなったのか。 キラ自身よくわからないまま、ラクスの勢いにつられて頷いた。 もちろん、ラクスのことはカガリと同じくらい好きなのだ。 ・・・対アスランについて言えば、カガリより好きかもしれない、と思いながら。 「ニコルも、ガモフに残ったイザーク達も。 みんなキラの味方ですわよ。 任せてくださいましね」 うきうき、とラクスが一人でどんどん話を進めていく。 「いろいろ考えてありますわ。 まずは、キラがプラントの市民となることからですわね。 そうそう、この艦がプラントに着いたら・・・ またこうして3人で仲の良いところをアピールしましょう」 うふふ。どんな演出をしようかしら? 「あぁ、と。父上、そんな訳ですので・・・」 楽しそうに考えを巡らせているラクスに呆気にとられていたアスランが気が抜けたようにパトリックに話しかける。 「・・・好きにすればいい。 レノアも喜ぼう」 墓参りに連れて行ってやれ、と言い残し、通信は切られた。 「許して、くれたの?」 「そうみたいだな。 ・・・これで、あまりキラを待たせないで済むよ」 「アスラン」 見つめ合う恋人達。 それを壊すのは、やはりラクスだった。 解けかけていた腕をもう一度強く絡め、キラを引っ張るようにして艦橋を出ようとする。 「さ、キラ。ニコルを交えて作戦会議を致しましょうv」 ラクスの行為は明らかに邪魔をする意図が見えたが、キラのためというのも確か。 アスランは躊躇ったキラに微笑みかけ、ラクスに従うように即した。 「愛しているよ、キラ」 「私もよ、アスラン」 ***end |
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終わり 話が途中から違う方へ流れてしまった気がします カガリもあれきりになっちゃったしなぁ アスランはラクスに負けてるし・・・ いろいろ書き足りないところがありますが ここで話を終わらせていただきます 長々続けた話を最後まで読んでくださってありがとうございました |
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