独り−41 | ||
キラは女の子 | ||
「ラクス、いつもこんな長いのをはいているの・・・?」 「大抵、そうですわよ」 事も無げに答えるラクスに、キラは困ったような目を向ける。 居住区は重力があったから気にならなかったけど。 無重力だと、移動の度にスカートがパサパサと・・・。 気を抜くと捲れてしまいそうだわっ! 通路のベルトに手をあてながら、不自然な体勢でスカートを抑えているキラ。 「まぁ、キラ。そんなに心配しなくても、大丈夫ですわよ。 気持ち、いつもよりゆっくり動けばいいんですわ」 「そう言われても・・・っ!」 「困りましたわね・・・。 キラ、その長さがあれば、多少捲れても知れてます。 私、これまで一度も恥ずかしいことにはなったことありませんわ」 「・・・ほんと?」 「ええ。ほら、今なら人目がございませんもの。 試してみてはいかがです?」 ちょっど曲がり角に先についたラクスが周りを見回してキラに提案した。 *** 「平気だったでしょう?」 「うん。良かったぁ・・・」 安心した、と笑顔を浮かべたキラは、すっかり緊張感が無くなっている。 「それで、どこに案内しようか?」 「ん・・・、アスラン達は今どこにいらっしゃるかしら?」 「多分、格納庫だと思うわ」 あとは、ブリーフィングルームか・・・。 でもそこは行けないしね。 「ではそこへ参りましょう!」 *** 「ここが、パイロットの待機室なんですって」 みんながいるかいないかも不明のまま行っては迷惑がかかるので、キラはとりあえず待機室に案内した。 「その窓から中・・・外って言うのかしら?が、見えるの」 「あら、ほんとですわ。 ・・・・・・・・・いましたわ!」 ラクスの指さす先を見たキラの目に、赤い軍服を着た人影が2〜3人映った。 「んと、誰かしら、あれ?」 「ちょっと遠くてよくわかりませんわね。 でも、あの5人の誰かなのは確かなのですから」 「そうね。 ・・・ラクスは、モビルスーツとか怖くない?」 「怖い・・・ですか?」 「うん。あれって、人を・・・でしょ?」 傷つける? 殺す? そう訊いているのですわよね・・・。 声を暗くしたキラをラクスは見つめる。 キラはラクスに訊きながら、目は格納庫へと向けられたままだ。 「怖いのは、人、ではないでしょうか?」 「え?」 意外な答えに、キラはラクスを振り返る。 「あれは、道具にすぎません。 確かに、兵器と呼ばれるだけの武装がなされていますけれど。 それを使うのは、生身の人間です。 ・・・破壊の道具とするも、大切なものを守る道具とするのも。 扱う人の心次第だと、私は思いますわ」 「あ・・・」 ラクスを見つめていたキラは、そっと視線をモビルスーツに戻した。 「人の、心・・・」 「アスラン達が乗っているなら、私は怖くないですわ」 「・・・うん。そうね、ラクス」 *** 「おい、あれ・・・」 「な・・・」 奪取してきたGの調整をしながら相談していたアスラン達の目に、場違いな光景が映る。 「キ・・・ラ・・・?」 「アスラン・・・///」 キラとラクスが、共に華やかな服を着て飛んできた。 アスランはキラを、ラスティとニコルはラクスに手を伸ばして受け止める。 「その服は・・・?」 「ラクスが貸してくれたの。 軍服じゃ、なんだからって。・・・変?///」 うううっ。アスランが呆然としてる。 やっぱり、おかしいんだわ。 「あの、着替えてくるからっ!」 *** next |
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