独り−27


キラは女の子


「キラが一人でコロニーに行くって聞いたときは大反対したけど。

 行って、良かったみたいだな」

「私が、変わった、って・・・」



変わった?

変わったかしら?



「どこが?」

「はっきり言うようになったじゃないか。

 表情も生き生きしているし、な」

「私、・・・そんなに違った?」

「今のおまえが、本来のキラなんだろう。

 ずっとそれを引っ張り出したかったのに、私じゃなかったのは残念だな。

 ヘリオポリスで、恋人でも見つけたのか?」

「・・・どうしてそうなるの」



はぁ、とキラはため息を吐く。



「・・・カガリが言うみたいに私が変わったなら。

 ヘリオポリスじゃないわ。

 ここよ」

「・・・どこ?」

「ここ。ザフトの艦」

「・・・やっぱりなんかされたのか?」

「だ・か・らっ!なんでそうなるの!」



眉根を寄せ、嫌そうに話すカガリに、キラは怒鳴ってしまう。



「だって、キラは戦争も軍も嫌いじゃないか」

「好きな人のが少ないでしょう、それは。

 今だって、そりゃ好きじゃないけど。

 ここに来て二日で・・・、そうね、少し意識が変わったの」



それでも、まだ疑わしいような目をやめないカガリに、キラも焦れてきた。



カガリは、どう言えば納得するのかしら?

このままだと、思いこみでまた変なこと言いそうだし。



考えながら、なんとなく周囲を見回したキラが、こちらを見ているアスランと目が合った。



あ、確かカガリには・・・



「カガリ、私の幼なじみの話、憶えてる?」

「月にいたコーディネイターの男の子だったよな。

 キラの初恋の相手だろ?」

「カ、カガリ!わ、私、そんな話はしてない!///」

「だってキラの話は、そいつのことばっかりだったじゃないか。

 優秀で、綺麗で、かっこよくて、って。

 言われなくてもわかったさ、私にだって」



ち、違わないけど!

なにも、今ここで言わなくても!!



あたふたと回りを見ると・・・



笑われてる。

絶対、みんなに笑われてる。



ブリッジにいる人々は、背を向けて座っており、無関心に見えなくもない。

だが、その肩は、どう見ても震えている。

それは、笑いたくもなるだろう。

軍の通信を使って、それも艦橋のメインスクリーンで。

なんでこんな、緊張感の無い会話をしてるのよ、私達。



「いや、だから、その・・・。

 そういう話じゃなくて。

 あの、あのね・・・」



今更誤魔化してみても意味無いかな。

はぁ。



キラは弁解を諦め、顔を赤くしながらアスランを手招いた。



「紹介するわ、カガリ。

 彼が・・・」



キラの横のシートに軽く掴まって体を静止させたアスランを、キラは指し示す。



「私の幼なじみの、アスランよ。

 彼に再会して、それで私・・・」

「そいつ、軍人だな!

 おい、キラから手を離せ!」



アスランがキラの肩を抱き寄せるのを見て、カガリは怒り出してしまった。

キラの話など、聞いていない。



「キラから離れろ!

 キラも、そいつから早く・・・」

「カ・ガ・リっ!

 いい加減にして頂戴!」



キラは精一杯の声を出して、カガリを怒鳴りつけた。

さすがにカガリも黙る。



「カガリ、あなた話が逸れてるのわかってる?

 公式に申し込んでこの通信をしてるんじゃないんでしょ。

 おじさまがそんなことを許すはずないものね。

 さっさと用件を済ませない」

「キラ、だけどそいつ・・・」

「今教えたのに聞いていなかったでしょ。

 このアスランが、私の幼なじみなの」

「そいつが・・・?」



カガリの視線を受け、アスランが微笑んだ。

アスランにしてみれば、キラの姉で友人であるカガリには含むところは無い。

けれど、カガリは気に入らなかった。



*** next

Top
Novel


Counter