独り−25 | ||
キラは女の子 | ||
「すみません、ご迷惑お掛けしました」 システムを起動し、ロック機能を除去し終えた後。 キラはコックピットを出るなり、謝った。 「いや、君の能力がよくわかったよ」 クルーゼは苦笑している。 「すごいですよ。 僕も見させてもらいましたけど、まるでわかりませんでしたから」 「キラのプログラムは、かなり変わってるからな。 俺も、キラのを解析するのだけは苦手だよ」 ニコルが感嘆するのに、アスランも同意してみせた。 先ほどアスランもロックを解除しようとしたのだが、駄目だったのだ。 「キラは昔から、プログラミングだけは真面目にやってたからな」 「あ、ん、だって・・・、機械工学とかは苦手なんだもん」 「そう言うところをみると、今も変わらず、か。 好きなことにしか、集中しないんだ、キラは。 やれば、できると思うんだけど」 「できないものは、できないの。 なんでもできちゃう、アスランとは違うんだから。 もう。・・・やめてよ、アスラン。 みんな笑ってる///」 *** 「え?3人とも、もうひとつの艦に行っちゃうの?」 もっとアスランの話も聞きたかったのにな・・・。 イザーク、ディアッカ、ニコルの3人が、別行動になると聞き、キラは残念だった。 「俺達はもともと、ガモフに所属しているからな」 「しばらく、このヴェサリウスにいることには、なっているんですよ。 ただ、あちらでもすることがあって。 また来ますから」 *** 「ちゃんと勉強しておけば良かったな、って思ったことはあるの」 「何が?」 「いろいろ・・・。 あのね、アスランがくれたトリィが壊れたの。前に」 「トリィ?」 「ほら、お別れの時にアスランが作ってくれた小鳥」 「あ、ああ、あれか」 キラが苦手なマイクロユニットの課題。 無理だろう、というような希望を聞いて、作ってあげた。 あれが壊れては、キラには直しようが無かっただろうな、確かに。 「大事にしてたの。 父さん達とヘリオポリスへ行こうとしたときは電源を切ってバックに入れて。 お陰で、その時は無事だったの」 飛んでいたら、撃たれたかもしれないから。 その時を思い出して、キラの顔が曇る。 「地球では、両親やあの事で頭がいっぱいでね。 トリィを飛ばせてあげられたのは、ヘリオポリスに来てから。 トリィはね、友達で、家族だったのよ。 なのに、ある時、いなくなっちゃったの」 「キラ・・・」 キラは泣きそうな気持ちを、深く息を吐いて落ち着けた。 「ちょっと飛んでいったな、って思ったら、帰ってこなくて。 探しに行ったら、・・・壊れていたの。 私には、直してあげられなくて・・・。 アスランに教えてもらっておけば良かったな、って」 壊れたんじゃなくて、壊されてたから。 そんなこと、言えないけど。 あんな・・・バラバラにされたら・・・ ああ、そうだわ。 家に大事にしまっておいたから、コロニーといっしょに、もう・・・。 「トリィがいなくなっちゃって、アスランに嫌われたような気がしてたの。 そんなはずないのにね。 いつか、ね。 いつかまた、作ってくれる?」 「すぐ、作ってあげるよ」 「ううん、いいの! 今はね、アスランがここにいるでしょ? いつか、でいいの」 今じゃなくて、いつか? 「・・・今じゃ駄目なのかい?」 「ダメ」 アスランは不思議そうに首を捻るが、キラは理由を教えなかった。 トリィが大切だったのは、アスランの代わりだもの。 本物のアスランがここにいる今。 トリィは、いらない。 ・・・かわいいから、欲しい気持ちも強いんだけど。 なんか、またアスランと別れることになりそうで。 ちょっと、まだ不安が・・・。 *** 翌朝、艦橋から呼び出しがあった。 「アスラン・ザラ。キラ・ヤマトを艦橋へ。 オーブから通信が入っている」 *** next |
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オーブからの通信が、航行中のザフト艦に通るのだろうか? とは思うのですが・・・都合により、気にしないでください |
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