独り−19


キラは女の子


「キラ、キラ、朝だよ」

「ん〜、なぁに?

 もう、そんな時間なの?

 母さん・・・」



まだ眠っていたい気持ちが強く、キラは寝返りをうとうとした。



・・・なにか、ある。



シーツの中で伸ばした腕に、何かが触れる。

目を閉じたまま、手探りで探ってみた。



・・・大きくて、暖かい。

・・・・・・・・・人間?



「にん・・・っ!」



一気に目が覚めたキラは、がばっと起きあがった。



「おはよ、キラ」

「・・・アスラン?

 なんで、アスランが?

 あれ?・・・大きい」



同じく上体を起こしたアスランの顔を見上げ、キラは首を捻っている。



「キラ、寝ぼけてるのかい?」

「え、えっと・・・・・・・・・。

 あ・・・、そっか。

 うん、寝ぼけちゃった。ごめん。

 夢、見ていたの。昔の」

「そうみたいだね。

 母さん、って言ってたよ」



と、キラが嬉しそうに微笑んだ。



「そうなの。母さんを母さんって呼べたの」

「よかったね」

「うんv」



・・・キラが喜んでいるのは、俺も嬉しい。

嬉しいのだが・・・



キラの両親に妬いてどうする、アスラン・ザラ。

自分に言い聞かせるが、やっぱりちょっと悔しいかもしれない。



アスランは素早く、キラの唇にキスをした。



「おはよう、キラ」

「おは・・・・・・・・・///」



突然のキスに驚いて、キラはちょっと動きが止まった。

だがすぐに、頬を染めながら、はにかむように笑顔に戻る。



「おはよう、アスラン」



アスランはゆっくりとベットから降り立った。



「シャワーを使うかい、キラ」

「ええ。ありがとう」



キラもベットから降りるのを横目に、アスランは机の上の衣類一式を持つ。

昨日、部屋に戻る前に、女性用の軍服一式を借りてきたのだ。



「ここの使い方はわかるよね。

 これ、軍服で嫌かもしれないけど」

「・・・昨日の服をもう一度着るよりいいわよ、もちろん。

 でも、部外者の私が着ても、いいの?」

「あまり、良くはないな、確かに。

 ただ、私服でいると目立つからね。

 大丈夫、許可は下りてる」

「ありがとう」



にっこり笑い、キラはシャワー室に消えた。

アスランも、軍服に着替え、身支度を整える。



***



「あ、おはようございます、皆さん」



アスランに連れられ、食堂に入ると先客がいた。

昨日会った、アスランの同僚達だ。

キラの声に、皆振り向く。



「おはようございます、キラさん。アスランも」

「おはよう、嬢ちゃん。アスランも、な」

「・・・・・・・・・おはよう」



イザークという人は、無口なのかな?



「キラ、座っていてくれ」

「私も・・・」

「キラさん、キラさん。

 ここへどうぞ。さぁ、さぁ」



アスランに続こうとしたキラに、素早く近づいたニコルが背を押して椅子に座らせてしまった。

どうしていいかわからず、アスランに目で訴えるが、アスランは苦笑で応えている。



まぁ、ニコルがいれば、あまりおかしなことにはならないだろう。

少しは好奇心を満足させてやらないと、後が怖いしな。



「キラさん、僕達、ラスティに会ってきましたよ」

「ラスティ、もう話ができるんですか?」

「もちろんです。快復までには少しかかりますけどね」



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