独り−6 | ||
キラは女の子 | ||
「なっ、ま、また!?」 『キラ、無事か!?』 もう一度、今度は軽い衝撃があり、すぐにアスランの声が響いた。 どうやら、先ほどの大きな衝撃で慣性に流されるストライクをイージスが止めたらしい。 「あ、アスラン、早かったのね・・・じゃなくて。 い、今の何?なんだったの?」 アスランは、キラ達がコロニーを出た後、内部に戻って行っていた。 地球軍の戦艦と戦闘をしていたジン達を援護し、脱出させるために。 ストライクはあまりスピードを出さず、イージスが追いつくのを待っていた。 だが、思っていたよりも早い。 『キラ、ちょっと急ぐ。 速度を上げるが、ついて来られるな!?』 「な、ちょっと、アスラン!?」 イージスがストライクから離れ、一気にスピードを増した。 一瞬ぽかんと見送りそうになったキラも、すぐに我に返りストライクにイージスを追わせる。 「何があったの、アスラン!? アスランってば!」 キラがどんなに呼びかけても、アスランは応えない。 さらにキラがアスランを呼ぼうとするのを、ラスティが止めた。 「キラ、何があったかわからない状況で、通信を多用しちゃいけない。 不安になるのはわかるけど。 たぶん、あいつが返事をしないのは、言いたくないことがあるんだよ。 ・・・俺達の艦に行けば、わかるだろうから、今は待ってくれ」 「ラスティ・・・」 ラスティを横目に見たキラは、はっとした。 顔色がさっきより悪いわ。 ああ、そうよ。普通に話していたから、うっかりした。 彼、大怪我してたのに。 彼を早くお医者様に見せるために急いでたのよ。 なんてこと・・・、私ったら! 「ごめんなさい。そうね、ラスティの言うとおりよね」 具合が悪いのに、キラの心配をしてくれているラスティ。 彼を安心させようと、キラは微笑んでみせた。 *** キラとラスティの乗ったストライクをヘリオポリスから脱出させた後。 内部にもどったアスランの見たものは・・・ コロニーのメインシャフトが、切れていくところだった。 「コロニーが・・・崩壊する!」 もう、間に合わない! アスランは、急いで通信回線を開く。 「ヘリオポリス内のザフト軍! コロニーが崩壊する!すぐに退避しろ! 繰り返す!即刻、ヘリオポリスから、脱出しろ!」 味方に警告をし、イージスを転進させた時、とうとう、シャフトが千切れた! コロニーが分断されていく・・・ 「く・・・っ」 勢いよく大気が吹き出す気流に、イージスも巻き込まれた。 「くそっ!」 目の前で起きたことは、大きな衝撃だった。 そして、防げなかったことを悔やむ。 ヘリオポリスだった場所には、今やその残骸だけが浮かんでいた。 パージされた救命艇をいくつも飛んでいく。 ほとんどの住民は、避難できただろうが・・・。 間に合わなかった人がいなかったと、誰に言えよう。 あそこには、キラの家があったはず・・・ キラに、何と言えばいいんだ!? キラの戻る場所を壊してしまった。 結果的には、俺達が壊した・・・ だがこれで、キラは・・・ っ、何を考えてるんだ、俺は! 唐突に脳裏に浮かんだ想いを、振り払う。 「キラのもとへ急ごう」 とにかく、キラを艦に連れて行くのが先決だった。 機器の扱いに慣れないキラなら、まだこのことに気づいてないはず。 キラがショック受け、さっきみたいになったら困る。 触れられない状況では、どうしようもないから。 イージスをストライクのいるであろう場所へ向かわせる。 ほどなく追いついたストライクは、先のコロニーの崩壊の気流で流されていた。 できるだけ衝撃を与えないように、ストライクをイージスで掴む。 「キラ、無事か!?」 *** next |
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