独り−4


キラは女の子


「俺は、もう一機へ行く。

 キラはこれを起動してくれ。

 ラスティ・・・キラの補助を・・・」



キラの、そしてラスティの心配をしながらも、アスランは別のモビルスーツに乗り込んだ。

キラはOSを起動させる。



「ガン、ダ、ム?」



画面に現れたシステム名の赤い頭文字を繋げるとGUNDAM・・・

ガンダムと読めた。



「ガンダム?」



聞きいたことのない言葉に、ラスティが不思議そうに訊く。



「あ、今、画面に・・・

 いえ、たいしたことじゃないです」

「そう?」

「ええ」



体が動かなくても、痛みを感じないせいか、ラスティが平気そうに会話する。

キラはOSが立ち上がったのを確認して、プログラムをチェックし始めた。



「何、これ・・・」

「どうした?俺、見えないんで、説明してくれ」

「それが、このOS無茶苦茶です・・・。

 まだ、開発途中なのかしら?

 こんなので、これだけの機体を制御するなんて無理じゃないかと」



キラはすごい勢いでキーボードを叩き、片っ端から調べていく。

ラスティからも見えるキラの横顔は、先ほどまでと違っていた。

真剣なまなざしで画面を見つめ、時折、顔をしかめたりしている。



『キラ。』



アスランから通信が入った。

あちらのモビルスーツも起動したのだ。



「あ、アスラン」

「おい、アスラン。彼女がOSが駄目だって言ってるぞ!」

『ああ、キラの言うとおりだ。

 これは、再構築し直さないと、とてもじゃないが、艦まで戻れない。

 キラ、書き換えるんだ。できるな?』

「ええ。今やってるわ。あともう少しよ」



会話しながら、キラは既にOSを書き換え終えようとしていた。

その返事に驚いたのは、アスランではなく、ラスティだ。



「おいおい、モビルスーツのOSなんか、わかるのか?」

「モビルスーツは初めてです。

 でも、スペックに合わせたプログラムを組むだけですから。

 なんとかします。

 ・・・と、うん、OK。完了したわ、アスラン。

 ただ・・・」



キラはちょっと言いよどむ。



『どうした?』

「この機体、武装がほとんど無いの。

 汎用性重視らしくて、幾通りかのユニットを換装するみたいよ。

 もちろん、私が動かすのには関係ないけど・・・いい?」

「ミゲル達に頼んどけば、いいさ。

 ここじゃ無理でも、出れば連絡つくだろ」

『そうだな。・・・そうしよう。』



二体のモビルスーツが、ゆっくりと起きあがる。



『大丈夫か、キラ?』

「うん。なんとか」

『キラはラスティの指示に従ってくれ。

 俺は、フォローする。

 場合によっては、俺が離れることもあるが、心配はいらない。

 キラがラスティを連れて、艦に行くのが最優先にする。』

「・・・アスランも同じ艦に行くのよね?」

『もちろんだ。』



モニター越しに、アスランと見つめ合い、キラは小さく笑った。



『なんだ?』

「なんでもないの。

 さぁ、行きましょうよ」



***



アスランの機体―イージスの後について、キラの機体―ストライクが建物から出る。

ストライクから見る光景に、キラは目を見開いた。



「なんで・・・」



ザフトのモビルスーツと、見たこともない戦艦が戦闘を繰り広げていたのだ。



「なんで、コロニー内に、戦艦がいるの・・・?」



戦艦からの砲撃は、モビルスーツに避けられている。

艦からすれば、モビルスーツは的として小さいのだろう。

だが、避けられても、どこかには当たる。

コロニーを支えるシャフトが切られ、大蛇がのたうつかのように落下する。

街が、破壊されていく・・・。



ついさっきまで、平和そのものだったヘリオポリスが、戦場になっていた。



「まずい、な」

「え?」



呆然としていたキラは、呟きを聞き、ラスティに顔を向ける。



「このままだと、このコロニーが危ないぞ」



*** next

キラが地球軍に所属しないと
地球軍が一方的に悪者になっちゃうなぁ

にしても、ラスティは元気な怪我人だ・・・
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