再会−22


キラは女の子です


「キラ、その服・・・」



ブリーフィングルームに現れたキラの身につけた軍服に、クルーゼ隊の面々は目を見張った。



「ふむ。やっと出来てきたな」

「はい。先ほどの補給に入っていました」



キラの軍服は、形状こそ女性兵士用のものに似ているが紅いのだ。



「皆に改めて紹介しよう。

 このクルーゼ隊の新しいパイロット、キラ・ヤマトだ」



パイロット、の一言にアスランが我に返った。



「待ってください、隊長!キラは・・・っ!」

「本人の希望なのだ。

 アスラン、君が反対なのはわかっていたがね。

 まあ、パイロットといっても実戦経験がないからな。

 基本的には、君らの援護が彼女の役目になる」

「実戦以前に、訓練もしてないんですよ!」

「擬似訓練は君らのいない時に済ませた。

 彼女は優秀だよ。それに適正もある。

 私が認めたんだ。問題なかろう。

 さぁ、今日の打ち合わせはこれで終わりだ。

 退出したまえ」



***



「キラ、なんで・・・?」

「アスランと一緒にいるためよ。決まってるでしょ。

 言ったでしょう、そのためには努力するの。

 とはいえ、足手まといは否めないけど・・・」



キラは、他の三人に向き直った。

三人とも、複雑そうな顔をしている。



「これからは、キラ、と呼び捨てにしてください。

 今日から同僚ということになります。

 どうぞよろしく」



***



「キラ!頼むから、パイロットだけは辞めてくれ」

「イヤよ!もう決めたの。

 大丈夫よ、クルーゼ隊長も言ってたでしょう。

 適正があるんだから」

「そういう問題じゃ、無い!

 キラ、君は女なんだぞ。実戦をする必要はないんだ。

 モビルスーツなんて、すぐ死に繋がるんだぞ」

「そう言うアスランだってそうじゃないの!」

「俺はいいんだ、今はキラの話をしている!」

「良くないわ!」



アスランの部屋で二人きりになると、途端アスランがキラを説得しようとした。

しかしキラは、引くつもりは無い。



「キラ!」



怒鳴ったアスランが、つい右手を振り上げると、キラは思わず目を瞑った。

すぐにアスランは我に返って手を止めたが、目の前で目を閉じ震えているキラを見ると、高ぶった自分の気持ちが抑えられなくなった。

キラをベットに押し倒し、その上にアスランは覆い被さる。



「な、アスラン、何を・・・っ!?」



目を見開き、動揺しているキラの唇を己のそれで塞ぐアスラン。

強引なアスランに、キラは抵抗するが、力で勝てるわけはない。



次第に深まる口づけに、キラも抵抗しなくなったころ、やっとアスランが唇を離した。



「キラ・・・」



おとなしくなったキラを見下ろし、そっと話しかける。

キラは目を閉じたまま静かに涙を流していた。



「ごめん」

「何に、謝ってるの?」

「頭ごなしに、反対したことだよ。

 ・・・突然のことで、頭に血が上った」

「じゃあ、もう反対しないの?」

「・・・そうだな。キラが決めたことだ。

 でも、無理はしないと誓ってくれ。

 実戦は模擬とは違う。

 危険が大きく、敵の命を奪う行為でもある。

 僕はキラに、辛い思いはさせたくない」

「じゃあ・・・、認めてくれるの?」



キラは目を開いて、アスランを見る。



「ああ、仕方ない。認めたくは無いんだがな。

 それでキラを泣かせてたら、どうしようもない」

「ありがとう、アスラン」



キラは、涙の跡を残しながらも、嬉しそうに笑った。

アスランは指でキラの涙を拭い、囁く・・・



「キラは僕が守るから。

 ずっと、一緒にいよう。今度こそ。

 愛しているよ、キラ・・・」



***end

やぁっと、終わり〜
なんか、書きたいことを書いていたら
やたら長くなっちゃいました
途中、体調を崩したこともあり、約一ヶ月・・・
最後までお付き合い下さった方、ありがとうございました
Top
Novel


Counter