再会−21


キラは女の子です


「キラさんが、ここに残るって、本当なんですか!?」



ニコルがアスランの部屋に駆けつけると、そこには軍服姿のキラもいた。



「本当、なんですね・・・」

「ああ。隊長の承諾を得た。

 今日からクルーゼ隊に所属することになる」

「でも・・・、キラさんが志願するのも意外でしたけど。

 隊長がキラさんをクルーゼ隊に入れるというのも意外ですね。

 オペレーターならともかく、キラさんは違うんでしょう?」

「隊長は、キラを有能だと認めた。

 確かに、女性兵士を前線に配置することはあまりないがな。

 しかし、キラは俺といたくて志願したんだ。

 クルーゼ隊にいなければ、意味がない」

「隊長が・・・。それなら、本当にキラさんは優秀なんですね。

 志願したからといって、訓練も無しに入隊させるなんて。

 しかし・・・、はぁ。アスラン、今、惚気ましたね」



ニコルは呆れたようにアスランを見る。



「アスラン、希望が叶って良かったですね・・・。

 キラさん」

「は、はい」



ニコルがアスランと話している間、ずっと離れて横を向いていたキラが、ニコルに向き直った。



「アスランはですね、キラさんを攫っていきたいって言ってたんですよv」

「ニ、ニコル!」



アスランは焦ってニコルを止めようとするが、ニコルはアスランなど気にしない。



「ヘリオポリスでキラさんと再会した夜のことなんですけどね。

 ただ、キラさんを悲しませることはしたくないって」



キラはアスランを見る。

アスランは、微かに顔を赤らめている。

焦ってはいるが、その口から否定の言葉は無い。



「・・・嬉しい。私も連れて行って欲しいって思ったのよ。

 でも、そうね。あの時は、まだ覚悟が足りなかったわ。

 今の友達、父さんや母さんとの別れや戦争に対する、ね。

 でも今は違う。それが、自覚できた。

 アスランといることが、何より大切なの。

 それに比べれば、他のことはなんでもないことよ」

「キラ、僕もだ・・・」



ごほん!



見つめ合う恋人達は、突如聞こえた咳払いに我に返る。



「ニ、ニコル・・・」

「ニコルさん///」



はぁ。



ニコルはわざと大きくため息を吐いて見せた。



「お二人とも、幸せで結構ですけど。

 せめて人前では、自制してくださいね。

 そんないちゃいちゃされては、志気にかかわります」



呆れるように言った後、ニコルは微笑んだ。



「でもアスラン、良かったですね。

 ずっと辛そうな顔をしていて、心配してたんですよ」

キラさんがいれば、もう大丈夫ですね。



「・・・ありがとう、ニコル」



アスランもニコルに微笑みを返す。



そろそろ失礼します、と退室するニコルは、最後に振り返ってもう一言付け加えた。



「そうそう、くれぐれも、自制してくださいね、アスラン。

 恋人同士の営みはほどほどに。

 でないと、キラさんが艦を降りることになっちゃいますよv」

僕が部屋に入る前、何をしようとしてました?



言いたいことを言ったニコルは、顔を真っ赤にしたキラとアスランが何かを言う前に、さっさと出ていった。



***



「キラ、あなたその格好・・・」



ミリアリア達は、キラが軍服で現れて、目を丸くした。



「私、志願したの。

 アスランと一緒にいたいっていう、不純な動機だけど。

 そんなことで戦争するもんじゃないのはわかってる。

 でも、今別れたら、私、ずっと後悔するから」

「じゃあ、俺達とは・・・」

「うん。ここでお別れ。

 みんながこの艦を出たら、戦争が終わるまで会えないと思う」

「ご両親とも?」

「・・・アスランと会えないほうが辛いってわかったの」



ミリアリアがキラに抱きついた。



「よかったわね、キラ。あなた、ずっと彼に会いたがっていたもんね。

 もう離れたくないっていうのもわかるわ。

 でも!」



ミリアリアは顔を起こして、涙の滲んだ目でキラを見る。



「絶対に、死んじゃダメよ。生きて、必ずまた会うんだからね!」

「ミリィ・・・、ありがとう・・・」



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