再会−19


キラは女の子です


「「「「は?」」」」

「冗談・・・」

「嘘・・・」



アスランから告げられたのは、信じられない、信じたくない事実だった。

自分達の家が、さっきまでいたあの大地が、無くなってしまったなど・・・。



「本当です。映像も残っています。

 皆さんが欲するならば、ご覧にいれることもできます」

見る勇気があれば、ですけど・・・



伏し目がちに言うニコルから、嘘は感じられなかった。



「それで、皆さんの今後ですが・・・

 事態が事態ですので、すぐに決めることができません。

 オーブの別のコロニーか、本国へお送りすることにはなると思います。

 それまではこの艦にいていただくことになります」



ニコルは、まだ呆然としている、キラとその友人達を見回す。



「僕とアスランが皆さんのお世話をします。

 なにかあったら、僕らに言ってください。

 ただ、まだ任務が残っているので、もうしばらくここで待っていただけますか?」



任務・・・?



「あのモビルスーツの解析やメンテナンスだ。

 戦闘をしたりするわけじゃないよ」



心配そうにアスランを見るキラを、安心させるようにアスランが言った。

だが、キラはそれを聞いて目を見開いた。



「でも・・・」



***



「やっぱり・・・」



キラはアスランに連れられて、モビルスーツの中に座っていた。



「さっき、ロックは解除したんだろう?」

「なんで、またロックされちゃったんです?」



ディアッカもニコルも不思議そうだった。

イザークは相変わらず不機嫌そうなままだが。



「すみません。あの時、時間が無くて。

 使えるようにしかしなかったんです。

 これ、起動するたびにロックされるようになってます。

 システムから取り除かないと駄目で・・・」



言いながら、キーボードの上をすごいスピードで動き回っていたキラの指が止まる。



「できました。これで、大丈夫だと思います。

 ・・・確認してみてもらえます?」



キラがコックピットから出ると、代わりにイザークが座って作業を開始した。



「今度は大丈夫なようだ」



途端、周りにいた全員がため息を吐き、キラは目をぱちくりとさせた。



「あの、なにか?」

「いやね、俺達があんなにやって駄目だったのに。

 嬢ちゃんがあんまり簡単にやっちゃうからさ」

「ええ、ほんとに。すごいですよ、キラさん。

 で、他の機体もお願いできますか?」



キラは快諾し、無重力の中をアスランに連れられて移動し、すべてのモビルスーツからキラのロックシステムを外した。



***



「私が、隊長さんに会うの?」



キラを含め、ヘリオポリスで保護した民間人達を、それぞれ個室に案内した後のことである。

キラとアスランは、キラに与えられた部屋の中で、並んで座って話をしていた。



クルーゼがキラに興味を示していたし、また、先ほどの件で艦内に話が広まっている。

早いうちに、話を決めておいた方が良いと、アスランは判断した。



「そんなに、不安がらなくてもいいよ。

 別に、怖い人じゃないから。

 キラのプログラムのこともあるからね。

 先に説明しておけば、便宜を図ってもらえる」

「そう・・・、よね。

 少なくとも、私が地球軍に荷担したつもりは無いって言わなくちゃね」

「それに、今後のこともある。

 キラ達をオーブへ送れるまでにはまだ時間がかかる。

 その間に、キラが軍に利用されないように気を付けないと」

「利用って、私が何を?」



まるでわかっていないらしいキラは、本心から不思議そうだった。



「キラのプログラミング能力だよ。

 昔からそうだったけど、こればっかりは、僕も敵わないからな」



このヴェサリウスには、優秀な人材が揃っている。

なのに、キラのロックを外すことができなかったのだか。



「私が、役に立つの?」

「この上なく、ね。だから困ってる。

 キラをここに、軍に留めようとするかもしれない」

嫌だろう?



*** next

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