再会−18


キラは女の子です


「ほんと、なんですか?」



ブリッジへ報告に行ったアスラン達が最初に聞かされたのは、ヘリオポリスが崩壊したということだった。



「そんな馬鹿な!なんで・・・?」



信じられなかったが、スクリーンに写し出されるその時の映像に、驚愕しながらも認めるしかない。



「コロニーへの被害を最小限にするための作戦だったはずです」

それがなぜ、こうなったのですか?



そのために、わざわざ危険を冒して彼らは潜入したのだ。



「ミゲル達の部隊が失敗した・・・。

 いや、彼らは全員無事だ。

 しかし、新造戦艦を破壊することができなかった。

 ・・・奴らはコロニー内部で、ジンに砲撃を仕掛けてきたそうだ。

 戦闘になり、結果、シャフトが切れた」

「そんな・・・」



アスラン達は皆、顔を歪めて押し黙った。



昨日見たあの平和な街が、今はもう無い。

ついさっきまで、あそこにあったのに・・・



「さて。では、報告を聞こうか。

 君達は4人なのにモビルスーツが5体。

 それに、民間人を連れてきたそうだが?」



***



「なるほど。情報に間違いがあったのはこちらのミスだな。

 ヘリオポリスの民間人を無断で保護したことは、良しとしよう。

 ・・・君らが助けなければ、その4人は、あの崩壊に巻き込まれただろうからな」



そう、あの時は時間が無くて、アスランの独断で彼らを同乗させた。

もしもそうしなかったら・・・

彼らには避難所へたどり着く時間は無かっただろう。



「問題は・・・

 アスラン、君の幼なじみだという少女だ」

「・・・キラ・ヤマトといいます」



話がキラの事に及び、アスランは緊張した。

キラを、守らなくてはいけない。



「彼女はあれらのモビルスーツの開発に携わっていたのかな?」

「いえ!それはありません!」



キラが地球軍に協力したなど、冗談ではない。

クルーゼに疑われては、キラの身が危なくなる。



「キラは、戦争が嫌いなんです。

 ・・・いえ、もちろん我々とて好きで戦争をしてなどいませんが。

 あのモビルスーツに、キラのプログラムが入っていたのは確かです。

 しかし、キラがその気なら、あんなOSにはならない筈です」

「私も同感です」



キラを庇うアスランを、ニコルも助ける。



「あれのOSは、あまりにも稚拙でした。

 とてもモビルスーツを動かすには、足りません。

 キラさんは、あの機体のOSをご自分で書き換えたようです」

キラがいれば、もっとましなOSになったことだろう。



「君達の意見は?」

「同じです」

「彼女があのシステムを見て、驚愕していたのは事実です」



イザーク、ディアッカも、キラがあれに関わっていたとは思えなった。



「ふむ。君達がそう言うのなら、良かろう。

 だが、しばらくは様子を見る。

 ・・・そんな顔をするな、アスラン。

 別に疑うわけじゃあ、ない」



顔を強ばらせるアスランに、クルーゼは苦笑を浮かべて宥める。



「彼ら民間人の処遇は、後ほど検討しよう。

 返すべき場所が無くなってしまったからな。

 地球のオーブ本国へ送るにしても、今すぐは無理だ。

 彼らについては、アスランとニコルに任せよう。

 イザークとディアッカも協力してやりたまえ。

 関わった以上、最後まで面倒をみることだ」



クルーゼはアスラン達4人を見回す。



「奪取してきた機体から、データを読み出す。

 それが終えたら、あれらは君らの機体にしよう。

 各自、機体性能の確認を怠るなよ。

 以上だ」

「「「「はっ!」」」」



***



「アスラン、よかったですね。

 キラさんと、しばらく一緒にいられますよ」

嬉しいでしょう?



アスランがキラを連れて行きたいと言ったのを聞いているニコルは、アスランの為に、事の成り行きを喜んでいた。

けれど、アスランは少し浮かない顔をしている。



「ああ。嬉しいよ。このまま傍に置きたいな。

 だが・・・、キラにとって、これで良かったのかどうか・・・」



*** next

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