再会−16


キラは女の子です


『おい、いいのかよ?』

『他にどうしようもないでしょう?』



ヘリオポリスを出て、母艦に向かうモビルスーツ5機中、4機には、パイロット以外の搭乗者がいた。



「すみません、みなさん・・・」



キラはモビルスーツを操りながら、モニターに向かって申し訳なさそうに謝る。

キラ一人でも迷惑なのに、その友人達の保護までさせてしまった。



『あ、キラさんは気にしないでくださいね。』

『そうそう。決めたのはアスランだからな。』

「でも・・・」

イザークさんは、不機嫌そうです・・・



『イザークはいつもこんな感じですから。』

『こいつは、ナチュラルが嫌いなんだよ。』

『ディアッカだって同じでしょう?』

『まぁな。好きじゃあ、ないな。』



ディアッカとニコルの言葉にドキッとしたのは、それぞれに同乗している、ミリアリア達だ。



これに乗った時、安全のためとして、話しかけたりしないように言われた。

だから、こんなことを聞かされても、確認することはできない。

しかし、嫌いと言われると・・・



『・・・確かにナチュラルは嫌いだが、民間人をどうこうしたりはしないぞ。』



コックピットの中で恐る恐る自分を見る視線に、イザークは苛立たしげに言う。



『お嬢ちゃんの友達なんだろ?気にすんなって。』



ディアッカも、すぐ横で怖々されては気が散る。



『君は、コーディネイターが嫌いか?』



アスランが、横にいる少女、ミリアリアに訊いた。



『あ、いえ。そんなこと・・・』

キラもコーディネイターなんだし・・・



ミリアリアの不安そうで、心細そうな声が、キラにも聞こえた。

同年代の少年とはいえ、初めて会った、それも軍人と二人きりでは、ミリアリアが不安になるのも無理はない。

本当は、ミリアリアだけでもキラのところに乗せようとしたのだが、皆に反対されて、アスランに任せたのだ。



「ミリィ」



キラはモニター越しにミリアリアに話しかける。



「ミリィ。いろいろ説明をするのは後になるけど。

 これだけ、先に聞いて。

 あなたの横にいる彼は、アスラン・ザラっていうの」

『・・・アスラン?どこかで聞いた?』

「名前は、ずっと前に言っただけかな。

 あのね、アスランは、トリィを作って私にくれた人なの」

『トリィを!?』

え、じゃあ・・・



ミリアリアは横にある少年の顔をまじまじと見つめた。



『キラの初恋の人!?』

うそ!かっこいいじゃない!



「ミ、ミリィ・・・。否定はしないけど。

 お願い、声を落として・・・」

耳がイタイ・・・



ミリアリアが突然叫んだので、聞いていた全員、思わず耳を押さえてしまった。



***



『キラさん。あれが僕達の母艦です。』



モビルスーツの前方に、巨大な戦艦が二隻見えてきた。



『ヴェサリウスとガモフと言います。

 これから僕達が行くのがヴェサリウスです。』



艦を見たキラは、恐怖を感じた。

今キラが乗っているモビルスーツも兵器なのだが、戦艦をこんなに近くで見るのは初めてである。

これが、戦争をしているのだ。



『キラ、大丈夫か?』



アスランがキラを心配そうに見ている。



「う、うん。大丈夫」

『無理するなよ?気分が悪くなったら、すぐ言うんだ。』

「ええ。でも、あと少しでしょう?」

『そうだが・・・』



顔色が悪くなったキラに、アスランは不安になるが、今できることはない。



「それより、ミリアリアをお願いね」

『・・・ああ。』



ヴェサリウスはもう目の前だった。



*** next

Top
Novel


Counter