再会−14


キラは女の子です


「キラ、そこまででいい」



モビルスーツ4体のロック解除を終えたキラが、5体目に移動しようとするのをアスランが止めた。



「え、でも、全部持って行くんでしょ?」

「パイロットが4人しか居ないんだ。それは抱えていくさ」



今、アスラン達はコックピットの中で、OSの書き換えをしている。

ロックシステム以外にもキラのプログラムが入っていて、キラの予想どおり、このままでは機動に差し支えるからだ。



1人、足りない?

なら・・・



このままでは、すぐにもアスランと別れなければならない。

キラはそっと最後の機体に入って、ロックを解除し、プログラムを書き換え始めた。



***



イザークが最初に作業を終え、モビルスーツを立ち上がらせる。



と、工場から外へ続く出入り口のシャッターが開き、そこから武装した人々が入ってきた。



「それに乗っているのは誰!?

 すぐに降りなさい!降りなければ、敵と見なします!」



やっと、こちらの工場に地球軍の意識が向いたらしい。

予想よりも遅くて助かったが。



ふん。こいつら、正気か?

モビルスーツに、その程度の武装でどうするというんだ。



「おい、ディアッカ、アスラン、ニコル!

 地球軍が来たぞ。急げよ!」

『終わったよ。』

『こちらも終わりました。』

『・・・終わったが、キラの姿が見えないんだ。

 誰か、確認できないか?』

『キラさんが!?』



『私は、ここにいるわ。』



キラの声が、モビルスーツの通信機から聞こえてきた。



***



『キラ!なにをして・・・』



アスランの声を聞きながら、キラはゆっくりとモビルスーツを立ち上がらせた。

まだ書き換えは途中だが、このままでは地球軍の攻撃が始まってしまう。



「これも持っていくんでしょ?

 なら、私がこうして動かした方が早いわ」

『馬鹿なことを言うんじゃない!

 これは、キラの嫌いな戦争なんだぞ!』

「言ったでしょ。私、アスランとこれきりなんて、イヤなのよ。

 また離ればなれなんて、イヤ!」

『キラ!駄目だと・・・』

『アスラン、待ってください。

 今は、言い争っている場合ではないです。』



キラを諫めようとするアスランを、ニコルが遮る。



『キラさんを心配するのはわかりますが、時間がありません。

 どちらにしても、今キラさんがモビルスーツから出たら

 地球軍はキラさんをザフトの人間だと思います。

 かえって危険ですよ。』

『ニコルの言うとおりだな。

 アスラン、とりあえずこのまま行くぞ。』



彼らの言うように、既にキラ1人を逃がすには遅かった。



『・・・わかった。キラ、僕達の指示どおりにするんだぞ。』

「ええ」

『僕達がフォローしますから。』

「ありがとう」



***



他の機体に囲まれるようにして、キラはモビルスーツを歩ませる。



せめて、工場を出るまでに書き換え終えないと・・・



キラにはモビルスーツの経験など当然無い。

システムによる動作の補助の割合を増やして操作しやすくしないと、アスラン達の足手まといになってしまう。

キラは必死でプログラムを操った。



***



『フェイズシフト装甲、か。』

『こりゃいいな。こいつらの攻撃を避ける必要もなくて。』

『そうですね。・・・これならキラさんにも安心できます。』



地球軍からの砲撃を受けながらも工場を出る彼らは、キラを気遣いながらも穏やかな様子だったのだ。

しかし、眼下の景色は、愕然とさせるに十分だ。



「街が・・・っ!」

『地球軍の奴ら、街を突っ切ってきたんだ!』

『市街地に被害を与えるなんて!』



モビルスーツから見た街は、そこここから煙りを上げていた。



『おい、民間人がうろうろしているみたいだぞ?』



イザークの指摘に、キラはモニターを操作してそれを見つける。



「ミリアリア、トール、サイ、カズイ!」



*** next

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