再会−13


キラは女の子です


「モビルスーツ・・・。ほんと、だったんだ」

ここで地球軍の兵器を作ってる、って。



トリィを追いかけて工場まで来たキラは、息を整えながら手すりの向こうを見下ろした。

そこには・・・5体のモビルスーツが並んでいた。



キラは、アスランの言ったことを信じていなかったわけではない。

・・・信じたくなかったことは確かだが。

しかし、自分の目で見て、否定することが出来なくなってしまった。



キラが状況も忘れ呆然としていると、モビルスーツのコックピットが開き、人が出てきた。

それがアスランだと気づいた瞬間、キラは手すりを飛び越え、モビルスーツの上に飛び降りる。



「キラ!」



着地でバランスを崩したキラを、アスランは素早く支えた。



「キラ、なんでこんなところに来たんだ!危険だと、言っただろう!」

「だって!だって、イヤだもの!」



キラはアスランにしがみついて、訴える。



「せっかく会えたのに、また会えなくなるなんて、絶対にイヤ!」

「キラ。それは僕だって同じだ。キラともっと一緒にいたいさ。

 でも、今はダメなんだ。・・・僕達は戦争をしている。

 別の騒ぎでここは無人だが、いつ地球軍が来るかわからない。

 この場所が戦場になるんだぞ。

 キラ。すぐここから逃げるんだ」

「イヤ。イヤったら、イヤ。

 迷惑なのはわかってる。でも!」



キラは顔を上げ、アスランと目を合わす。



「今はダメで、じゃあ、いつならいいの!?

 次、いつ会えるっていうの!?

 わからないじゃない!」

「キラ、それは・・・」



「アスラン、時間が無いぞ!」



興奮しているキラを、なんとか宥めようとするアスランに、イザークが声を掛ける。



「起動できないなら、奪取から破壊に変更する。

 さっさとしろ!」



イザークの言葉に、アスランよりもキラの方が早く反応した。



「起動できないって、もしかしてロックシステムのことですか?」



キラは片手をアスランから離し、体をイザークへ向け訊ねる。



「そうだ」



イザークは、ちらっとアスランに目を向けた後、キラに答えた。

キラがアスランを振りあおぐと、苦しげな顔をキラから背けている。



「やっぱり、私のなの・・・?」



唇を噛み締めたキラは、アスランから手を離し、目の前のコックピットに滑り込んだ。



「キラ!なにを・・・」

「確認するの!ほんとに、私のプログラムがこれに入ってるのか!」



キラが起動しようとしても、当然先ほどのアスラン同様、途中で止まる。

それを見たキラは、もう一度始めからやり直した。

そして今度は、起動開始と共に、物凄いスピードでキーボードに指を走らせる。



「起動、した」

「なんだと!?」

「ほんとだ!」



コックピットを覗き込んでいたアスランが思わず呟いたのを聞きつけて、イザーク達もやって来た。



「ちょっと待てよ。たとえこれ作ったのがこの嬢ちゃんだとしても、だ。

 いくらなんでも、これに積む前に変えるんじゃないか?

 なんで、出来るんだ?」



ディアッカの疑問はもっともだったが、キラには理由がわかっている。



「起動開始と同時に、パスワードを入力しないと、起動できません。

 パスワードは、システムに組み込む時に設定できるようになっています。

 教授には、それしか説明してありません。

 でも、私はこれに、自分専用の入り口を作っておいたんです。

 ・・・機密扱いのものに使うなんて聞いてなかったですから」



キラは、予想したとはいえ、自分のプログラムが兵器に使われたことにショックを受け、呆然としたまま、彼らに説明した。



「キラさん、他のモビルスーツのロックも解除してもらえますか?」

「待て!キラをこれ以上・・・」

「やります」

「キラ!」



コックピットを出ながら、キラは心配するアスランに悲しげな顔を向けた。



「アスラン、心配してくれてるのはわかるわ。

 でも、こんな風に知らない間に戦争に利用されているのは許せないの」

まして、地球軍はおばさまを殺したんですもの・・・



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