再会−12


キラは女の子です


「おいおい、どういうことだ?」

「情報と、違うな」

「変ですね。MSは4機だったはずですけど」



アスラン、イザーク、ディアッカ、ニコルの眼下には、モビルスーツ5体が横たわっている。

彼らが受けた命令は、モビルスーツ4機の奪取であった。

だからこそ、彼らは四人で潜入したのであって、5機あるのであれば、一人足りない。



「情報が間違っていたというわけだな。

 まあ、いい。ひとつは抱えていくか、無理なら破壊する」

いいな?



イザークの言うように、他にどうしようもないことは明らかだ。



「しっかし、モビルスーツをこんなに無造作に置いておくかね」

「秘密は漏れないと、自信があったんでしょう」

「素人にどうにかできるものでもないしな」



モビルスーツのあるこの工場内に、人は疎らだ。

ちょうど休憩時間にあたり、モビルスーツの周りには人影が無い。



「いくぞ」

「「「了解」」」



それぞれに、モビルスーツに忍び寄り、コックピットに入った。

ハッチを閉めてしまえば、外から気づかれることはない。

あとは、別働隊の動きを待つ間に、起動するだけだ。



これらの機体を無傷で持ち帰るには、このコロニーにいるであろう地球軍が邪魔。

彼らには、戦艦へと意識を向けてもらう方が良い。

こちらで先に騒ぎが起きるとまずいので、このMSも今はいつでも動かせる状態で待機させておくのだ。



しかし・・・



『OSの起動ができません!』

『なんだ、これ?ロックされてるぞ!?』



通信機から、ニコルとディアッカの驚愕した声が聞こえる。



『解除しろ!』

ナチュラルの作ったものだぞ!



言いながらも、イザーク自身も解除出来ず、イライラしているようだ。



「これは・・・!?」



仲間達の声を聞きながら、アスランはモニターに映るものに見覚えがある気がするのだ。

起動しようとすると表示されるパターン。

ロック解除を行おうとすると表示されるパターン。

遊んでいるでいるようで、強固な壁。



「まさか・・・、キラの!?」



考えられないことでも無かった。

キラが言っていたではないか。ここのコンピュータにアクセスできると。

つまり、それだけの実力を、ここで認められているのだ。

もちろん、キラ自身はこれに使うなど知らなかっただろうが。



『ダメです!全く受け付けません!』

『パスワードなんか、探っている暇は無いぞ。どうする!?』



ディアッカの言葉が終わらないうちに、連続する爆発音が聞こえてきた。

大きな揺れと、震動とともに。



幸いにして、この工場内には地球軍は居らず、モルゲンレーテの職員だけとみえて、そこここにいた人々は皆、避難していく。



だが、このまま動かせないモビルスーツではどうしようもなかった。



『くそ!なんだこいつは!?』

「イザーク」

『なんだ、アスラン!』

「解除する時間が無い。このモビルスーツを破壊するか?」



このロックがキラのものなら、短時間で解除するのは難しい。

アスランはそう判断した。

しかしイザークは、己がナチュラルに負けるようなことを認めたりしない。



『冗談じゃない!俺達の任務は、奪取だぞ!

 こんなロック、すぐに・・・っ!』

「イザーク、違うんだ。たぶんこれは、ナチュラルが作ったじゃないと思う」

『同胞が地球軍に協力したとでも言うのか!?』

「そうじゃない。・・・イザーク、これはキラが作ったものかものしれない。

 似てるんだ。昔のキラのものと」

『キラさんが!?』

『あの嬢ちゃんか!?』



アスランは、モビルスーツから出た。

他の三人も、諦めて出てくる。



「キラのプログラム能力は高い。それに独特な形式なんだ。

 とてもじゃないが、簡単に解除できるとは思えない」



そう言ったアスランに向かって、飛んでくるものがあった。

咄嗟に避けたアスランの目に、旋回してくる、トリィが映る。



「トリィ」



今度は除けずに、手を差し出すと、トリィはそこへ留まった。



「アスラン!」



呼びかけるニコルを振り向くと、上方を指している。

ニコルの指さす先には、手すりに掴まり、肩で息をするキラの姿があった。



*** next

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