再会−11


キラは女の子です


「きゃぁぁぁぁぁっ!」

「な、なんだ?」

「おい、みんな大丈夫か?」



キラがミリアリアと、帰る帰らないと押し問答をしていた時にそれは起こった。



連続する爆発音。

音に合わせるように来る、大きな揺れ。

灯りが瞬き、物が落ちる。



「な、なに?何が起こったの?」



ミリアリアが、キラの腕にしがみついて不安そうに言う。

キラはそんなミリアリアを連れて、他のみんなのところへ移動した。



「ミリィ、キラ、無事か?」

「う、うん。私は。・・・キラ?」

「平気。トールは?」

「今、外の様子を見に行ったよ」



話しているところへ、トールが戻ってきた。



「大変だ!ザフト軍が攻撃してきてるらしいぞ!」

「なんだって!なんで・・・!」



攻撃?だって、攻撃はしないって言ってたのに?



「ほんとに、攻撃してるの?」

アスランが私に嘘を言うわけないのに・・・。



「あ、いや。確かめたわけじゃない。

 ただ、ここの職員がそう言っていたんだ。

 さっきの爆発は、ここじゃない別の工場で詳しいことはわからないみたいだけど」



キラの念押しに、トールはちょっと自信なさげに答えた。



「よくわからなくて、ザフトの攻撃って断言するってことは。

 攻撃される理由に心当たりがあるって事だよな」

まさかと思うけど、地球軍がここにいるのか?



呟くように言うサイの言葉が、的を射ていることをキラは知っている。



別の工場・・・ならば、アスラン達では無いのだろう。

彼らの目的は、この工場にあるらしいことを言っていたから。



「とにかく、避難しようよ。

 ここじゃないって言っても、何があるかわからないしさ」

「あ、そうだな。カズイの言うとおりだ」



皆で、研究室を出る。

以前、避難経路は確認してあるので、迷うことは無い。

それに、ここの職員も移動中で、ついていけばいい。



***



「トリィ」



「あ、トリィ、ダメ!戻って!」



避難しながら、キラは迷っていた。

あんなにアスランにまた会いたいと思っていたのに、いざとなるとやはり、怖い。

アスランとその仲間達はきっとここの工場区にいるだろうと思う。

でもそこは戦場なのだ。

アスランに会いたいが、戦場は怖い。



だがその時、それまでおとなしくキラの肩に留まっていたトリィが、またしても飛び立ってしまった。

すぐに追おうとしたキラの手を、サイが掴む。



「キラ。駄目だよ。トリィが大切なのは知ってるけど。

 あっちは工場区だ。これがザフト軍の攻撃なら、この工場だって危ないかもしれない。

 今は、避難しなきゃいけない」

「そうよ、キラ。危険だわ」



キラにトリィを追うのを止めさせようと、口々に言った。

キラは手を掴むサイを見て、周りの友人達を見て、・・・トリィが飛んでいった方を見る。



「トリィのが、正直ね」



キラは小さく呟き、苦笑を浮かべた。

迷いは、消えていた。

今、アスランに会わなければ、きっと後悔する。

次にいつ会えるのかわからないだけではない。

キラが怖がっている戦場に、アスランは身を置いているのだ。

二度と会えない可能性もあることに、キラはやっと気づいた。



キラは無言で、サイの手を振り払った。



「ごめんなさい。みんなは避難して。

 私は・・・トリィを追うわ。

 大丈夫、避難所はあちこちにあるもの。

 心配しないで」



言って、キラは全速で駆けだした。

トリィの飛んでいった、工場区へ。



***



「「「「キラ!」」」」

「ど、どうしよう」

「どうしようったって」



キラを追いかけようにも、キラは速い。

すでに姿が見えない今、追いつくことは不可能だった。



*** next

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