再会−4


キラは女の子です


「アスラン。本物よね。夢じゃないわよね・・・

 ・・・っ。心配してたのよ!ずっと連絡とれなくて!」

「ごめんね。でも僕だって、キラのことを心配してたんだよ。

 月からここへ来たなんて聞いてないからね」



アスランはキラを一度しっかりと抱きしめてから、彼女の顔を見たくてその腕を外させた。

キラの顔を見下ろしたアスランは、嬉しそうに笑う。



「まだ、この鳥、持っていてくれたんだ」

「もちろんよ」

「トリィって名前付けたの?」

「そうよ、トリィって鳴くから。・・・もしかして、さっきの聞こえた、よね?」



そうよ、私さっき、トリィは好きな人からもらったって、言っちゃった・・・

アスランを好きって言ったってことじゃない!



「聞こえた」

「・・・・・・・・・・・。///」



ううう。間違いでしたなんて言っても意味無いよね。

それに、嘘じゃないもん///



アスランは、恥ずかしそうに俯いて黙ってしまったキラの頬に手をあて、上向かせた。



「俺もキラのことが好きだよ」



え?アスランも、私を好き?



キラはアスランを見上げて、目を見開く。



「本当?」

「ああ」



私はアスランが好き。アスランも私が好き。

嬉しくて嬉しくて、キラの顔に、輝くような笑顔が浮かんだ。



「君に再会したら言おうと思っていたのに、キラに先を越されちゃったな。

 言わないまま別れてしまったのを、ずっと後悔していたんだ。

 こうして三年も経って、もう僕を忘れられているかもしれないって」

「アスラン・・・。私が、アスランを忘れるわけ、ないじゃない」



笑顔のキラの瞳から、涙が流れ出す。



「そうだね。信じてたけど・・・。キラは可愛いからね。

 誰かが君を攫っていくかもしれないって、怖かった。

 僕は傍にいられなかったから」

「バカ。バカ、バカ。アスランのバカ。

 だったら、さっさと迎えに来なさいよ・・・っ」



キラはアスランにしがみつき、その胸で泣き出してしまった。



***



「なぁ、あれ。・・・アスランだよなぁ」

「え、ええ。たぶん・・・」

「・・・」



常に冷静沈着。いかなる時も無感動・無表情。

それは仲間全員に共通する認識だ。



「さっき、あの鳥相手に笑顔を浮かべたのも見ました?」

「ああ、見た見た」

「あれだけで、僕驚いたんですけど・・・」

「ありゃ、俺だって驚いた」

「・・・」



ニコルとディアッカは、こそこそと小声で話している。



イザークは、ただ呆然としていた。

あまりにも意外なアスランの姿に。

いつだってあの取り澄ましたような顔をしているアスラン。

イザークが突っかかっていっても、まるで気にしない。

相手にされないから、余計に気に入らないのだ。

そのアスランが・・・?



「あのアスランがねぇ・・・」

「別人にしか見えませんよね」

「ああ。・・・イザーク?」



ふと、黙ったままのイザークをディアッカが見やると、彼は拳を握りしめながら震えている。

今にも怒鳴りそうだ。



「イ、イザーク。ちょ、ちょっと待て」

今、ここで騒動起こさないでくれ。



イザークの肩を焦ったディアッカが掴む。



「そ、そうです、イザーク。も、もう少し待ってください」

邪魔しちゃ、悪いです。



ニコルはイザークの前に怖々と立ち塞がる。



二人の声に、イザークは我に返った。

ディアッカの手を払い落とし、イザークは二人を睨む。



「今、俺達は任務中なんだぞ!」



ディアッカとニコルは何となく困り、顔を見合わせる。



「そうは言っても、仕方ないだろ」

「そうですよ。知り合いに再会すれば、無視するわけにいかないですし」

「逆に目立つしなぁ」

「あれが目立たないとでも・・・」

「恋人同士なら、別に。・・・ほら、周りの人だってもう、関心持ってないですよ」

「無理に引き離せば、騒ぎになって目を惹くんじゃないか?」



言われることはもっともなので、イザークも黙るしかないが、これだけは言わなければならない。



「で、あれはいつまで放っておけばいいんだ?」



確かにいつまでも待っているわけにはいかない。

彼らは任務があり、潜入中である。

それに、そのうち工作員が来るはずだ。



しかし、少女は泣いている。

せめて彼女が少し落ち着くまでくらいは待ってもいいだろうとニコルは思う。



が、イザークの様子では、そういつまでも保ちそうにない。

野暮はしたくなかったが、ニコルは諦めて声を掛けることにした。



*** next

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