再会−2 | ||
キラは女の子です | ||
「あの!ロボット鳥を見ませんでしたか? 緑色してて・・・」 「ああ、ここにいますよ」 にっこり、と笑って振り返ったのは、緑色の髪をした優しそうな少年。 ここからでは顔は見えないが、皆キラの同年代の少年達のようだ。 「トリィ」 確かに、少年達のところからトリィの声がする。 安心したキラは、息を整えながら彼らに近づいていった。 「あなたのですか?よくできてますね」 「そうなんです!鳴いて、肩に留まって、首を傾げて、飛ぶんです!」 アスランの作ったトリィを褒められて、キラは嬉しくて言葉に力が入ってしまう。 走ってきたせいでやや紅潮した頬で、満面の笑顔で話すキラは、この上なく可愛かった。 間近に来たキラに、少年もやや顔を赤らめる。 「すごいですね、あなたが作られたんですか?」 「まさか!私になんて作れません。 私の幼なじみが、こういうの得意なんです」 自分では作れなくて、幼なじみが得意だというのを嬉しそうに話すキラに、その幼なじみをキラが好きなことに少年は気づいた。 「おや、幼なじみはあなたの恋人ですね?」 「え?・・・あ、違いますよ。ただの幼なじみです///」 顔を真っ赤にしながら言っても説得力は無い。 自分でも自覚のあるキラは、諦めて続ける。 「私は彼のこと好きなんですけど///」 なんで、初対面の人にこんなこと話してるのかしら、私/// 「じゃあ、大切なものなんですね」 「ええ。大好きな人がくれた、大切な友達なんです」 もう今更とりつくろいようも無いので、キラはにっこりと笑う。 が、ちょっと不安そうな顔になって訊いた。 「あの、トリィはどこですか?」 「それが・・・、どうも妙に彼に懐いていて、放しても戻って来ちゃうんですよ」 苦笑しながら、横に座って背を向けている少年を指す。 「トリィ」 「まぁ、すみません。ご迷惑お掛けしました。 初対面の人に懐くなんて、今まで無かったんですけど」 言いながら、座っている少年の前に回り込み、その手元にトリィを見つけた。 「トリィ!もう、どうしたの。おいで?」 キラが手を差し出しても、トリィは少年の手から動かない。 捕まえようとしても、羽ばたいて逃げ、また少年の手に戻る。 「もう!どうして・・・」 途方に暮れるキラに、その少年から声が掛けられた。 「キラがいけないんだよ」 え? 突然名前を呼ばれ、キラはびっくりして彼を見るが、逆光でよく見えない。 「あ、の。どなたですか?」 このヘリオポリスに、キラと親しい人は少ない。 声には聞き覚えがあるのだが・・・ 「トリィに入れてあるマスター登録は、ちゃんと変えておくように言っただろう? 持ち主のキラより、僕が上のままじゃダメじゃないか」 あ! 「僕のこと、忘れちゃったのかい?薄情だな、キラは」 「ア、ア、・・・アスラン!?」 ほんとに、アスラン? 本物? キラは少年の腕を両手で掴んだ。 力一杯ひっぱって、屋根の下を出て、顔を見る。 藍色の髪、翠の瞳。 優しい笑顔。 キラの記憶に残る、三年前のアスランと同じだ。 もちろん成長して可愛らしさが消え、代わりにすっごく格好良くなってる。 目を見開いてアスランを見たキラは、次の瞬間、アスランの首に抱きついた。 *** next |
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