ストライクの捕獲の仕方(女の子キラ)−2 (TV本編第11話より) | ||
注意/キラは女の子です | ||
『おい。なんで突然止まったんだ?』 『どういうことだ?』 『エネルギー切れじゃあ、ないですよね。フェイズシフト落ちてませんから。』 突然、高速機動をやめて慣性で流れていくストライクには Gパイロット達も戸惑ってしまった。 いや、一人、アスランだけは・・・。 「キラ、キラ、大丈夫か、キラ。どうかしたのか?」 ストライクへ回線を繋ぎ呼びかけながら イージスでストライクの腕を掴んで、流れていくのを止めた。 「キラ?」 アスランの呼びかけにキラが今まで答えなかったことは無い。 他の三人は、何かの作戦かと警戒しているようだが アスランには、キラに何かがあったとしか思えなかった。 「キラの様子がおかしい」 『アスランは、そいつを持って行け。』 『AAとMAの追撃は、俺達が防いでやるよ。』 *** アスランがストライクのコックピットに入ると シートでキラがぐったりとしていた。 「キラ!」 すぐにベルトとヘルメットを外すと キラの顔色は、真っ青だった。 アスランはキラを抱いて、コックピットを出る。 「医務室へ連絡を!病人を一人連れて行く!」 *** 「アスラン、彼女はどうしました?」 貴方が医務室へ連れて行ったと聞きましたが。 ニコルの問いかけに、しかしアスランにもわからなかった。 「それが、ちょっとキラの様子を見ただけで、退室させられたんだ」 「そんなに、悪いのでしょうか?」 「真っ青な顔色で、気を失っていたんだ」 「それは・・・」 「おい、アスラン。あれのパイロットはどうした?」 「診察中だそうです。気を失っているとかで」 *** 「先生、キラは、彼女はどうしたんですか?大丈夫なんですか?」 医務室から出てきた医師に、アスランが詰め寄った。 詰め寄られた医師の方は これまで知っているアスランと様子が違うので驚いたが とりあえず、聞かれたことに答えた。 「彼女は、大丈夫。ちょっと体調が悪かっただけだ」 「しかし、気を失うなんて!」 「あ〜と、それは、だな。 うん、まぁ、本人に聞いてくれ」 「意識が戻ったんですか?それを早く言ってください!」 アスランは医師を突き飛ばすようにして、医務室に入っていった。 イザークとディアッカもアスランに続く。 残されたニコルは、アスランのフォローに努めた。 「先生、彼女はアスランの幼なじみで・・・」 「いいよ。言われなくても解る。 まあ、ほんとに心配ないから。 普通の部屋へ移ってもらっていいよって言っておいてくれ」 医師は、これ以上することはない、と自室へ戻っていった。 *** 「キラ!」 「アスラン・・・」 ベットに起きあがっているキラを、アスランは抱きしめる。 「よかった、キラ。 ストライクから応答が無い時も コックピットで気を失った君を見た時も 心臓が止まるかと思った。 あんまり、心配させないでくれ」 「アスラン・・・」 つい先日まで、戦闘をしていたというのに まるでそんなことなかったかのように キラの心配をしているアスランに、キラは、胸が暖かくなった。 キラはそっとアスランの背に手を回しかけるが ふと視線を感じて、手を止めて顔を視線の方へ向けた。 そこには、見たことのない少年が二人 キラとアスランを見ながら立っていた。 ずっと見られてた? キラは顔を真っ赤にして、アスランに注意を促す。 「アスラン。ちょっとアスラン。人が見てるわ。アスラン!」 やっと身を起こしたアスランは イザークとディアッカを見て、キラに対する敵意が無いことを確認した。 「キラ。紹介しとく。僕の仲間だ。 銀髪が、イザークジュール。デュエルのパイロット。 金髪が、ディアッカ・エルスマン。バスターのパイロットだ。 二人とも、僕らの一つ上になる。 それから、彼が、ニコル・アマルフィ。 彼は僕らの一つ下だ」 「キラ・ヤマトと言います。初めまして、でいいでしょうか。 まさかこんなカタチで会うことになるとは思ってもみませんでした」 言いながらキラは、彼らが自分に悪感情を持っていないように感じた。 「あの、皆さんは私のことどのくらいご存じなんでしょう?」 彼らにとって、キラは敵なはず。なのになんで・・・ 「ストライクのパイロット」 「アスランの月での幼なじみ」 「一世代目のコーディネイター」 「ヘリオポリスの民間人」 「"足つき"に友達が乗ってる」 口々に言われるが、ひとつ、わからない言葉がある。 「"足つき"ってなんです?AAのことですか?」 問うと、肯定が返ってきた。 「あ、AAはどうなったんですか?」 「無事に、月艦隊と合流したようです。 あなたの友人も、大丈夫ですよ」 「そう、ですか。よかった」 キラはにっこりと、心底安心したというように、笑った。 *** 「そうだ、キラ。地球軍は何を考えてるんだ? 女の子を戦いに出すことじたいおかしいが 体調の悪い人間をMSに乗せるなんて」 しばらくみんなで談笑したが 倒れたばかりのキラを気遣い、他の三人は退室していた。 二人きりになったところで、アスランは思い出していた。 「あのね、アスラン。 それを言うなら、私の具合悪い時にアスラン達が来たのよ? 昨日にしてくれれば良かったのに」 「それは、ごめん。 ラクスの件で、この艦はかなりAAと引き離されてしまったんだ。 今日やっと追いついたんだよ」 ラクスの名を聞いた途端、キラの顔が強ばった。 「キラ?」 「なんで、私をここに連れてきたの?」 キラはその声まで固くしている。 「キラを僕のところへ連れ戻すためだ。当たり前だろ?」 「アスランにはラクスがいるじゃない。 私を連れてきたって、アスランのところに私の居場所は無いわ」 「待ってくれ、キラ。ラクスは・・・」 「貴方の婚約者でしょ。本人に聞いたわ」 「父が勝手に決めたことだ」 「誰が決めようと、婚約者は婚約者だわ」 「違うんだ、そうじゃなくて・・・」 「ラクスが、アスランのこと、将来結婚する相手だって言ったの」 「キラ!」 叫んだアスランに、やっとキラが黙る。 「キラ。キラがラクスを帰したあの後、ラクスと話をしたんだ。 婚約解消をして欲しい、って」 「な・・・っ!」 「頼むから、最後まで聞いてくれ。 ラクスの返事は 「私、女の子を泣かすような方、好みません。 父には、私からそう言っておきます。 ・・・キラ様のこと、私とても気に入りましたの。 もうこれ以上、彼女を泣かさないでくださいね」 と、こうだった。 僕は、誰よりも君が好きなんだ。 どうか、僕の隣を君の居場所として欲しい」 キラの目から涙が溢れた。 「キ、キラ。ごめん。嫌だったかい?」 泣き出したキラに、アスランは見当違いの問いかけをする。 「馬鹿ね。アスランってば。 ラクスはあんなに素敵なのに。 その彼女を振って、私をとるの? 馬鹿よ、アスラン」 「キラ・・・」 「・・・私も、アスランが好きよ。一番好き」 涙を流しながら笑うキラは アスランが今まで見た中で、一番綺麗だった。 ***end |
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完結 って、いっぺんに書いたのを分けただけだから変かな まあ、ここまでという意味で |
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