どうしようもないから−3 (TV本編第28話より)




「「「アスラン!」」」

クルーゼとの通信を切った途端、三人はアスランに向かい怒鳴った。
しかし、次の言葉は続かない。

三人は、呆気にとられた。

アスランがキラを抱きしめて、キスしているのである。

「「「アスラン!」」」

三人は、もう一度怒鳴った。

***

アスランの居室へ場所を移動した。

「それで、何を聞きたいんだ?」

ベッドに腰掛けたアスランは、無表情に三人に問う。
今さっきまで、キラに情熱的なキスをしていた男には見えない。
ちなみに、アスランの膝には、キラの頭が乗っている。
キラがアスランの膝枕でスヤスヤと眠っているのである。

イザークとディアッカは、アスランの意外な姿に、驚きが隠せない。
ニコルも意外に思ったが、苦笑するに留めた。

「アスランは、彼と、キラと幼なじみで親友なんですよね」
「ああ」
「・・・恋人の間違いじゃないのか?」
「そうともいうな」
「ちょっと待て、おまえ婚約してるだろうが。ラクス嬢と」
「ラクスとは結婚しない。ラクスも承知している。
 ラクスもキラを気に入っているんだ。キラを泣かせるなと言われた」
「「「・・・・・・・・・・・」」」

「もういいのか?」
「いいわけないだろうが」
「とりあえず、キラさんについて話してくれませんか?
 なんか、いろいろ聞きたいことが有りすぎます」

***

イザーク、ニコル、ディアッカは疲れていた。

アスランにキラの説明をさせたら
アスランとキラが出逢った時からのことを話し始めた。
いや、それは良いのだが
無表情のまま、延々惚気話か!という話しをしたのだ。
途中で口を挟むこともできなかった。
結局、アスランがプラントに移る時の別れ際に
涙を溜めて見つめるキラが、どんなに可愛らしかったかまで聞かされた。

三人はうんざりした。
別に、思い出話を聞きたかったわけではないのである。
ヘリオポリスから後のことを知りたいのだ。
だから、まだ肝心のことを聞いていない。

「アスラン、それでキラさんはなんでストライクのパイロットになったんです?」
「知らない」
「「「は?」」」
「俺は知らない。そんなこと話す時間は無かったからな。
 いつまでも降りない理由は、AAに友達がいるからだと聞いた。
 知りたければ、キラが目覚めるまで待つんだな」

***

アスランに部屋を追い出されてしまった。

「アスランにはびっくりしましたね。
 ああいう性格だとは知りませんでした」
憧れていたんですけど。

「う〜ん。俺はあのほうがいいかな」
結構、わかりやすそうだしな。

「・・・・・」
イザークはむっつりと黙っている。

「まあ、あれはあれで楽しそうです。
 キラがここに残ってくれるといいですね」
「残るかな?AAに友達がいるっていうんだろ」
「そうですね。でも、彼はアスランの傍に居たいんじゃないかな?
 イザーク、嫌いなストライクのパイロットだからって
 キラをいじめたりしないでくださいね」
「・・・ああ」

イザークが肯くので、ニコルは驚いた。絶対、拒否すると思ったのだ。

「MSに乗っていないパイロットに用はない」

***

邪魔者が居なくなった部屋の中で
アスランは、キラを起こす。

「キラ。起きて」

キラに向けるアスランの声も表情も、とても優しかった。
だが・・・

「キ〜ラ。キラ、キラ、起きて」
いくら呼んでも起きないキラに。

「キラ!」
痺れを切らせたアスランは、肩をつかんで揺さぶった。

「起・き・ろ!キラ!」
怒鳴ったアスランに、キラはやっと目を開けた。

「あ、れ?なんでアスラン・・・、あ。そっか、ここザフトの艦だ」
「キラ、ちゃんと思い出したかい?」
「うん。・・・僕、もう君と戦わなくてよくなったんだよね」
にこっと笑うキラ。

「ああ。それで、キラがこれからどうするか決めないといけないんだ」
あと、あの三人にもキラと話しをさせないといけないか。

「キラはもう地球軍じゃないからね。オーブにも堂々と戻れるよ。
 ご両親は、オーブにいるんだろう?」
「アスランは・・・僕と一緒にいたくないの?」
キラは顔を曇らせる。

「いたいさ。当然だよ。でも、僕は軍人だ。
 キラがプラントに来ても、たまの休みに会えるだけなんだ。
 それなら、平和の国にいてくれたほうが安心だ」

キラと一緒にいたいのはヤマヤマだが、立場が許さないのだ。
キラがザフトに入れば一緒に居られるが
もうキラを戦いに参加させたくない。

「ザフトに入れば、アスランと一緒にいられるの?」
「キラ!」
「な、なに」
「わかってるの?軍に入れば、また戦うんだよ?」

アスランが僕を心配してくれているのはわかる。でも。

「アスランの傍にいたい。
 MSに乗る以外でも、役に立つことがあると思うんだ。
 ダメかな・・・」
「でも、キラ。ザフトに入るなら、AAとも戦うんだ」

キラの瞳が揺れた。
それでも、キラの気持ちは変わらない。

「明日、みんなに紹介するよ」

***end
アスラン、途中で性格変わっちゃったかな?
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