女の子キラ (本編6話より) | ||
TV本編第6話 アルテミスにて キラは女の子です。 |
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崩壊したヘリオポリスからもっとも近くに在る友軍基地・アルテミス。 AAはなんとかザフト艦を振り切り、アルテミスへ入港することができた。 だが、補給を受け、ただちに月基地へ向かいたいAAに対し アルテミスは、友軍コードを持たないことを理由に拘束した。 *** 「MSのパイロットと技術者は誰だ?」 アルテミスの司令官は、AAの士官3人を軟禁し それ以外の乗員を一室に集め、そう訊いた。 それに応えようとしたキラを押しとどめたマードックは MSのパイロットはフラガ大尉だと答えたが メビウス・ゼロが大尉にしか扱えない機体であることは司令官も知っていた。 「まさか、女性がパイロットということはないだろうが・・・ 艦長さんも女性であることだしな」 近くに座っていたミリアリアの腕を掴み、引き立てた。 「痛いっ!」 「おまえがパイロットか?」 にやにや薄笑いを浮かべながら、わざとらしく、言った。 「あれのパイロットは私です!」 痛みに顔をしかめるミリアリアを見て、キラは声を上げた。 「ふん。馬鹿なことを言うな。 友達思いは結構だがな、おまえのような小娘にMSが動かせるものか」 ミリアリアから手を離した司令官が、今度はキラに掴みかかろうとするのを サイが庇ったが、サイも殴られてしまった。 「ちょっと。いい加減にしなさいよ。その子の言ってるのは本当よ。 その子、コーディネイターだもの!」 サイが殴られたことに怒ったフレイが言った。 *** キラは、銃を向けられながらストライクのもとへと引き立てられた。 「システムのロックを外せばいいんですね?」 「とりあえずはな。だが、君はコーディネイターだ。いろいろと出来るんじゃないかね?」 「いろいろってなんです?」 「そう・・・たとえば・・・」 ストライクを見上げて、言う。 「これと同じものを作るとか。これに有効な兵器を開発するとか、な」 「そんな、私は民間人です・・・」 「ふん。君は裏切り者のコーディネイターだろう。 地球軍に協力するコーディネイターは貴重だ。 大丈夫、ユーラシア連邦でも優遇されるよ。くっくっくっ」 そう言って、司令官はキラをなめるように見る。 裏切り者・・・裏切り者? ストライクに乗ったから? ・・・アスランを・・・裏切った? キラは呆然としながら、銃で急き立てられ、ストライクのコックピットに入った。 *** 三年前の別れの日。 「キラ、もう泣かないで?これで最後じゃないんだから」 「でも!で・・・も・・・っ!」 アスランは、優しく微笑みながら屈み、キラと目線をあわせた。 「困ったな・・・目が真っ赤になっちゃうよ?」 「アスランは、私と会えなくなっても平気なの!?」 「まさか。プラントと地球で戦争なんて、起こらないよ、きっと。 だから、すぐにまた逢える」 にっこりと笑ったアスランを見たキラは、思わず顔を赤らめてしまった。 ううう。アスランの笑顔を間近で見ると、どきどきしちゃう・・・そんな場合じゃないのにぃ・・・。 「ねぇ、キラ」 「な・・・なに?」 「キラは僕のこと、好き?」 「っ、もちろん!アスランより好きな人なんかいないわ!」 「そう。じぁあ、約束してくれる?」 「?」 「待っていてくれる?僕が君を迎えに来るから」 「・・・いつ?」 「僕たちが、もう少し大人になったら。 キラのお父さんやお母さんに、僕が君を守れるって思ってもらえるくらいに」 「・・・それ、プロポーズ?」 「う〜ん・・・プロポーズの予告、かな。 今の僕ではまだ、キラをくださいって言えないからね。 ・・・待っていてくれる?」 「うん!だから、早く来てね!?」 「ああ、必ず。約束だ・・・」 キラを優しく抱き寄せたアスランは、その唇にそっとキスを落とした。 「約束の証だよ」 「約束・・・うん」 唇を手をあて、真っ赤になったキラは、しっかりと頷いた。 だが・・・キラとその家族がヘリオポリスへ移住を決めた頃。 学校の友達から、アスランがプラントの名家の娘と婚約したことを聞いたのだった。 *** アルテミスの技術者たちは、キラが常人には為し得ないスピードで 自分達がどうにもできなかったシステムのロックを解除していくのを見ていた。 ロックが解除され、システムが起動したその時。 轟音とともに、アルテミスが大きく揺れた。 *** 驚きで思わず銃口を逸らした瞬間、キラはコックピットから押し出した。 そのままハッチを閉じる。 「何をする!」 「こんなことしてる場合じゃないでしょう!」 続いている音や揺れは、明らかに攻撃を受けていることをしめしている。 ストライクの周りに居た人々も、慌てて基地内へ戻って行った。 キラもストライクで、AAから出た。 *** 軟禁されていた士官3名も、騒ぎに乗じてAAへ戻る。 「アルテミスと心中は御免です。出港します!」 *** アルテミス内に入り込んでいたブリッツを退け AAに着艦したストライクに乗ったまま キラは、アスランのことを思い出していた。 アスランの婚約話を聞いた時は、信じなかったけど。 今なら、アスランの立場がわかる今なら、否定することはできない・・・ あれは子供の約束事、ですもの。 それでも、今まで何度も、自分のところへ来るように言ってくれた。 アスランは優しいから。 でも・・・。 プラントへ行ったりしたら、いつかアスランが誰かと結婚するのを見ることになる。 友達を守りたいから、なんて言い訳なんだわ。 ただ、アスランが私以外の人の手をとるのを見たくないだけ。 身分違いなんて、一緒にいた時には考えなかった。 離れたら、周りの声が教えてくれた。 プラント評議会議員パトリック・ザラの跡取りである、アスラン。 一世代目のコーディネイターの、自分・・・ 裏切り者・・・か。 はは、あたってるよね・・・ *** キラがストライクを降りたところで、フラガ大尉に声を掛けられたが 泣くのをこらえて通り過ぎた。 *** next |
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続きます。 というか、時間切れ。寝ないと、ね。 |
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