女の子キラ−5 (本編6話より) | ||
「キラさま。目が覚めましたのね」 アスランがラクスに連絡をすると、ラクスはすぐにやってきた。 「ラクス!大丈夫でした?怪我とか・・・」 「まあ、キラさま。ありがとうございます。私は何ともありません。 私のことより、キラさまの方が心配でしたのよ? でももう大丈夫ですわね。アスランがいますもの」 ラクスに言われ、アスランを見て、はっと気づいた。 あ・・・ヤダ、離れなきゃ・・・! キラはアスランの腕から出ようとするが、アスランは許さなかった。 「キラ。ラクスは気にしないよ?」 「そうですわ。やっとアスランと再会されたのです。 いっぱい甘えるべきですわ。やっと表情から辛そうな陰が消えましたもの。 ふふふ。それに、アスランにも幸せをかみしめさせてあげるべきでしょうね」 ラクスに揶揄されて、キラが顔を赤らめた。 「ラクス。キラが恥ずかしがってます。からかわないでください」 「あら?私、アスランのために言いましたのに。違ってました?」 「いえ。やっとキラをこの腕に抱けて、この上なく幸せですよ」 アスランがあまりにもきっぱりと言うので、キラは余計に恥ずかしくなってしまった。 「ちょっ・・・アスラン!」 「あれ?キラは僕といて幸せじゃないのかい?」 「う・・・・・・・・・幸せ・・・///」 アスランの腕の中で、恥ずかしそうに、だがにっこりと笑うキラを見て アスランもラクスも、とても安心した。 そこへニコルが現れた。 「あ、キラさん、目が覚めたんですね。大丈夫ですか?」 「はい。すみません、ご心配お掛けしました」 今度こそ、キラはアスランからそっと離れ、ベットから降る。 「キラ・・・もう少し休んだほうがいいんじゃないか?」 「もう平気。アスラン、ラクスも、ありがとう」 アスランとラクスに微笑んだ後、キラはニコルに向き直った。 「知らせって、私にですか?」 「そうです。AAの乗員のうち、民間人だけこちらの艦に保護されることになりました」 「会えますか?・・・あ、他の人たちはどうなったのでしょうか?」 拘束されたというフラガ大尉や、AAのクルー達は・・・ それに、ミリアリア達はどちらに・・・ 「民間人の方たちは、先ほどシャトルで着艦しました。 居住区に移動して、IDの確認もします。会いに行けますよ。 地球軍の軍人については・・・ヴェサリウスで捕虜として拘束されています。 捕虜の待遇は条約で定められていますから心配いりません。 あのゼロのパイロットもヴェサリウスに移送されたそうです」 「あの、私は?」 「キラさんは民間人でしょう? 戦闘に参加していたので、ちょっと微妙ですけど。 でも、隊長に任されたアスランがあなたを捕虜にするとは思えませんから。 保護、ですね。絶対」 「あたりまえだ」 ほんとうに、当然のようにアスランは言い切った。 「私の友達も民間人なのに、ブリッジで手伝いをしていたんです。 彼らもこちらに来たのでしょうか?」 「え・・・と。すみません、キラさんのご友人が誰かわからないので、ちょっと」 「みんな、ブリッジに入るならと軍服を着用してるんですけど」 「あ・・・もしかして、ブルーとピンクの軍服の、僕たちと同年代の人ですか?」 「そうです!いました?」 「ええ。いました。会いに行ってみますか?」 すぐに肯こうとしたが、ふと視線を感じて、アスランを振りあおぐ。 アスランはどう見ても不機嫌そうな顔をしていた。 「ア・・・アスラン?どうしたの?」 「いや・・・キラが友達を守りたくて僕と戦っていたことを思うと、ちょっと複雑で」 その表情は、どう見ても、ちょっと、どころには見えなかった。 「やっぱり、怒ってる?」 「怒ってないよ。ただ、その友達がいなかったら良かったと思うだけ」 アスランに不穏な空気が漂うのを感じたニコルは 「アスラン。キラさんがまた泣くような言動はやめた方が良いですよ」 と、忠告した。 はっとして、アスランがキラに顔を向けると、キラが泣きそうである。 「ご・・・ごめん。違うんだ、キラ。ただ、ええっと・・・」 「うん。わかってる。アスランにいっぱい心配かけたもんね・・・」 涙をにじませながらも、キラはアスランに微笑んだ。 「あ・・・と、キラさん。お友達に会いに行くなら、着替えないと。 その診察服で移動はまずいので・・・室外は無重力ですし。 ただ、この艦には軍服しかないので、申し訳ないですが・・・」 そう言って、ニコルは女性用の軍服一組を差し出した。 *** 医務室が開き、ザフトの軍服に身を包んだキラが出てくる。 「変なかんじ・・・おかしくない?」 「キラさまには、アスラン達のような赤の方がお似合いだと思いますわ」 「だが、女性用は置いてなかったと思う」 「ええ。僕もそう思って探したんですけど、無かったんですよ」 「せめて、私の私服があればお貸しできたのに。残念ですわ」 「まあ、とにかくこれで移動できます。行きましょう」 *** 通路を進んでいくと、私服の集団がいた。 「あれがそうですね。今、IDの照合を始めたところみたいです、少し待ちましょうか」 しばらく様子をうかがっていると、地球軍の軍服を着た四人が見えた。 「ミリアリア、トール、サイ、カズイ・・・それと、フレイ。よかってみんないる」 「あれがキラの友達か・・・」 「ア、アスラン・・・」 「大丈夫、何もしないよ」 先ほどのことがある。心配そうに見上げるキラを安心させる。 「うん。あとで、ちゃんと紹介するからね」 「なんて?」 「え・・・恋人って。///」 からかっただけだが、頬を染めながら答えるキラが、あまりに可愛らしい。 もっと見たいとも思ったが、ここでは我慢することにする。 キラの友人達のID照合が完了したようなので、皆で近付いた。 「みんな・・・大丈夫だった?」 キラが声を掛けると、ミリアリア達がそろってキラに顔を向けた。 「キラ!キラこそ大丈夫?」 「怪我とか、無いか?」 「変なことされなかったか?」 口々に言い、みんなキラの心配をしていたことがわかる。 「うん、平気。ごめん、先にギブアップしちゃった」 「そんなこと!あそこで降服しなかったら、絶対私達みんな死んでたわよ」 「そうそう。艦長、絶対降服しないって言い切ってたもんな」 キラとその友人達の話を聞いていたアスラン達は、安心した。 先のキラの行いを、友人に咎められれば、キラがまた傷付くから。 キラには笑っていて欲しい。 だから気づかなかった。 キラの友人達の横に居た少女が、キラを憎々しげに見ているのを。 「キラ!あんたのせいよ! あんた、自分もコーディネイターだからって、本気で戦わなかったんでしょう! おかげで、こんな化け物だらけの艦に来なくちゃならなくなったじゃない! 第一、なに、その格好!あんた、寝返ったのね!裏切り者! それとも、最初っからスパイだったってわけ!?」 突然喚きだした少女=フレイがキラに掴みかかった。 すぐにキラとフレイを引き離すが、キラの様子がおかしい。 キラは、フレイの言葉を聞き、震えていた。 「キラ・・・キラ!」 アスランが呼びかけるが、キラは反応をせず、蒼白な顔でただ震えている。 「くそっ!」 キラを抱き上げたアスランは、そのまま医務室へ戻っていった。 *** 心配していたキラが、元気そうに自分たちの前に現れ 互いの無事を喜びあっていたのに、フレイがキラを傷つけるのを聞き ミリアリア達は、怒った。 「フレイ!なんてこと言うんだ!」 「キラは一生懸命戦ってたよ!」 「コーディネイターだろうとなんだろうと、キラは仲間なのよ!」 だがフレイは聞いてはいない。 今自分を拘束しているのは、ザフト兵=コーディネイターなのだ。 「放しなさいよ!コーディネイターなんて気持ち悪い!」 パシン! 喚くフレイの前に立ったニコルが、フレイの頬を叩いた。 「いい加減にしなさい。キラさんに守ってもらっておいてなんてことを言うんですか」 自分を叩いたニコルを、キッと見上げるフレイ。 「なによ。ほんとのことでしょ。 病気でもないのに遺伝子いじって生まれてきて。 コーディネイターなんて、自然の摂理に逆らった間違った存在よ!」 ニコルはフレイを見た後、周りにいるものたちに聞いた。 「彼女はキラさんの友人ではないのですか?」 「え、ええ。私達四人はキラと同じ研究室の仲間ですが 彼女は私とクラブが同じで、顔見知り程度でした。 それに、彼女はAAに乗るまで、キラがコーディネイターとは知りませんでした」 「君たちは知っていたんですか?」 軍服を着た四人が頷いて答えた。 ニコルはフレイを拘束している兵に、フレイを隔離するように命じた。 「あの、フレイは・・・あ、彼女フレイ・アルスターというんですが。 フレイをどうするんですか?」 怒ってはいたが、フレイがどうにかされては大変だと、サイがニコルに訊ねた。 「さすがにあれだけのことを、ここで言われてはね。 そのまま保護というわけにはいかないかもしれません。 どちらにしても、上司の指示を待つしかありませんが」 フレイが連行されるのを見送ったニコルが振り返った。 「さあ、皆さんは指示された部屋へ行ってください」 「あの、その前に教えてください!キラ、様子が変でしたけど大丈夫でしょうか」 「アスランが傍にいますから、きっと大丈夫ですわ」 ニコルが答える前に、ラクスが言った。 それまで、ラクスがいたことに気づかなかったミリアリア達は 突然の声にびっくりして振り向いた。 「「「「ラクスさん!」」」」 「みなさんには、私からお話させていただきます。 ニコルさまは、キラさまのご様子を見てきてくださいな」 「ですが、ラクス様をおひとりにするわけにはいきません」 「彼らは私を害したりなさいません。それよりキラさまの方が心配です」 ニコルはしばし逡巡したが、結局医務室へ向かった。 *** next |
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なんか、終わらない、どうしましょう・・・ 終わらせるつもりだったところで止められなくなっちゃった。 やっぱり、プロットって必要なのねと実感。 でもプロット書けない。 こんなのつらつら書いていて、読む人はいるんだろうか? 私自身は、書いてて楽しいけど。 あとでまとめる時に読み返したら、放り出したくなるかもですね。 |
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