女の子キラ−3 (本編6話より)




キラのストライクもフラガ大尉のゼロも
相手がジンであれば、一対多数でも振り切ることができた。
けれど、G4機を相手には無理がある。

交戦しながら、ゼロとストライクはAAから離れてしまった。

そして、一機が・・・イージスがAAに向かった。

***

「ストライク!ゼロ!AAに戻ってください!イージスに攻撃を受けています!」
ミリアリアから、キラとフラガ大尉に通信が入った。

「どうしよう・・・くっ・・・この二機相手じゃ・・・」
デュエル・ブリッツと戦いながらキラは焦っていた。

ゼロも、バスター相手で手一杯。

いくらAAでも、イージス相手にそんなに保たないわ、きっと。

「ミリアリア、艦長につないで!」
キラはAAに呼びかけた。

***

「艦長!ダメです、戻れません・・・このままではAAが!」
「戦闘中です。目の前の敵に集中しなさい!」
マリューはキラにそう答えるが、その間もAAは砲撃を受け、衝撃がくる。

「投降してください!それ以上被害が大きくなると、船体が保ちません!」
「できません!この艦は地球軍の軍事機密です!ザフトには渡せません!」
「勝手なこと言わないでください!
 そこには、ミリアリア達が、民間人が乗っているんですよ!?
 あなたたちが巻き込んだんです。彼らを道連れにするつもりですか!」

マリューが、ブリッジにいる彼らを見回すと
ミリアリア・トール・サイ・カズイの四人が、マリューを見る。
マリューの心に、迷いが起こった。だが・・・

「投降はしません」

***

迷っている暇はなかった。
このままでは、本当にAAは墜ちる。

「こちら、地球軍AA所属のMS、ストライクです!」

キラは、全周波で通信を始めた。

「ザフト軍、イージス・・・攻撃を止めてください!
 あの艦には、AAには民間人が乗っているんです!
 あなた方が攻撃して崩壊した、ヘリオポリスの民間人です!
 お願いします!彼らを死なせないで!」

***

通信を受けたザフト艦ヴェサリウスでは。

「艦長!地球軍のMSから、全周波放送です」
アデスは、映すように指示した。

「少女?・・・本当にあのMSからの通信か?」

ブリッジにいた全員の思いであった。
だが、それは確かに地球軍のMSから発信されていた。

***

「投降するということかね?投降信号は発せられていないようだが」
ザフト艦から応答があった。

「・・・AAは投降しないと言ってるんです。どうか、投降を勧めてください」
キラは泣きそうになりながら、答えた。

こうして話している間も、AAは交戦しているのだ。
今この瞬間にも、大破しないとも限らない。

「投降しないのであれば、破壊するほかはあるまい。
 君も軍人ならば、わかるだろう」
「私は軍人じゃありません。ヘリオポリスの学生です。
 軍の理屈なんて知りません。
 みんなを、友達を助けてください・・・」

キラは、とうとう泣き出してしまった。

「AAには、ラクスも乗っているんです。
 友達とラクスを助けて・・・!」

***

アスランはキラからの放送を聞いていたが、攻撃を止めるつもりは無かった。
このAAを墜とせば、キラが戦う理由が無くなると思ったからだ。

AAの推進部を破壊し、攻撃装備もほぼ壊滅させ、AAに取りついた。
ブリッジへ最後の砲撃を行おうとした瞬間、ラクスの名前が出たのだ。

アスランの手が止まった。

***

「ラクスというのは、まさかラクス・クライン?」
「・・・そうです。ピンクの髪で、プラント最高議会議長の娘だということですけど」

聞いた途端、アデスは怒鳴る。

「攻撃中止!"足つき"・・・いやAAに降服するよう勧告しろ!」

***

AAから、投降信号が打ち出された。

ストライクとゼロは、Gに従ってガモフへ。
AAの乗員は、ザフトの用意したシャトルに乗ってヴェサリウスへ連行された。

***

指示に従いガモフへ着艦したストライク。
銃を向けられる中、そのコックピットから出てきたのは
とても兵士とは思えない、華奢な少女だった。

「あの・・・どうすれば良いのでしょうか?」

銃に怯える少女に、兵士達も困惑してしまう。
我に返った一人が、指示をしようとしたところに声が掛かる。

「銃を下ろせ!」
赤いパイロットスーツを着たアスランが、ストライクに向かってきた。

「し・・・しかし・・・」
兵士の答えは聞かず、アスランはキラの前で、止まった。

「キラ・・・」
「アスラン・・・」

周りで見ていた兵士達は、地球軍のパイロットとアスランが
名前を呼び合うのを見て驚いていた。

アスランとキラは、見つめ合った。
三年ぶりの再会である。

「怪我は無いか?」
「大丈夫。・・・アスラン!」
キラはアスランの首に抱きついて泣き出した。
「怖かっ・・・たの、も、もうイヤなの、ア、アスランと、戦うの・・・」
強くしがみついて、声を上げて泣くキラをアスランもきつく抱きしめる。
「ごめんね。もっと早く助けてあげられなくて」
「ち、違う。私、が、私がいけないの・・・」
ずっと我慢していたものが、溢れだして涙が止まらなかった。
そんなキラにアスランは優しくキスを降らせる。
髪に、額に、瞼に、・・・唇に。

***

アスランとキラが抱きしめあい、周りの兵士が戸惑う中
他のGパイロット達もやって来た。

「アスラン!貴様、何をやっている!」
「おやおや。エースパイロット殿は、手が早いらしいな。くくく」
「アスラン・・・お知り合いですか?」

突然の声に驚いてキラが顔を上げると
そこにはアスランと同じ赤いパイロットスーツを着た三人がいた。
訊かなくてもわかった。Gのパイロットだと。

腕をほどいたアスランが、キラの前に立ちふさがる。

「アスラン、そちらがストライクのパイロットですね?」
「そうだ」

少女が怯えているのを見て取ったニコルは、場所を変えましょうと提案した。

*** next
ほんとはヴェサリウスにしたかったのですが
本編のクルーゼ隊長を見ていると、書けないです(T_T)
続きは明日・・・は無理かもしれません。
弟が帰省してくるので、パソコン占拠される可能性大。
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