女の子キラ−2 (本編6話より) | ||
アルテミスの騒動のおかげでザフト艦を振り切ることが出来た。 だが、結局補給はならず、依然として水不足。 仕方なく、デブリ帯で水を探した。 そこで・・・ *** 「君は、拾い物が得意だな・・・」 だって、放置できないじゃないですか。 内心を声に出すことは出来ず、キラは首をすくめて拾い物−ポッドを見た。 マードックがポッドのハッチを開けると 出てきたのは、ピンクの髪をしたキラと同い年くらいの女の子だった。 「ご苦労さまです。・・・あら?あらあら?」 彼女は見回し、周りを囲む人々の軍服に目を留めた。 「これはザフトの艦ではありませんのね?」 その少女=ラクスは、プラントの現最高評議会議長の娘だった。 *** 「ちょっと、なんで私が!」 キラが食堂に入ろうとすると、中からフレイの声が聞こえた。 「どうしたの?」 キラは、フレイとミリアリアを見ているトールにそっと訊ねた。 「ミリィがフレイに、あの女の子に食事を届けるように頼んだんだけど・・・」 フレイが嫌がっているのだ。 「その子、コーディネイターでしょ?何されるかわからないじゃない!」 「フレイ!」 「おまえ、何言ってるんだよ!」 「あ!キラは違うってわかってるわよ?」 フレイの言葉にショックを受けたキラは、体をこわばらせた。 キラに気づいたミリアリアが、すぐにフレイを黙らせようとしたし トールもフレイを叱りつけフレイも弁解しようとしたが キラはもう聞いてはいなかった。 「ミリアリア、私があの子に持っていくわ」 既に用意してあった食事を持って、キラは食堂を出た。 *** 「失礼します。ラクス・・・さん」 「まあ、こんにちは」 部屋に入ったキラを、ラクスはにこやかに迎えた。 「食事を持ってきました。遅くなってすみません」 「あら、そんなことございませんわ。わざわざありがとうございます」 机にトレイを置き、退出しようとしたキラをラクスは呼び止めた。 「あなたはお食事お済みですの?」 「私はまだお腹が空いてないんです」 「お忙しいのかしら?」 「いえ」 「まあ。では、私とお話しませんか?一人では退屈ですの。ダメかしら?」 寂しそうな顔をするラクスが気の毒になったキラは 「いいですよ」 優しく言って、椅子に腰掛けた。 向かい合って座りながら 「お名前をうかがってよろしいかしら?」 「あ、そういえば自己紹介がまだでしたね。 私はキラ・ヤマトといいます。ヘリオポリスの工業カレッジの学生です。 ・・・いえ、学生でしたが正しいかな」 「軍服を着ていらっしゃるのに、地球軍の方ではございませんの?」 「ええ。成り行きで。便宜上、この軍服を着ているように言われたんです」 「でも、キラさまはコーディネイターですわよね?」 「見て、わかりますか?」 「そうですね。やはり身のこなしが違いますかしら。 それにとてもお綺麗ですもの・・・あら?」 ラクスは突然何かに気づいたように、キラのことをまじまじと見つめた。 「キラさま。私、前にキラさまとお会いしたことがあるような気がするのですけど」 そう言われたキラは、考えてみるが、思い当たることはない。 「それとも、映像か写真で見たのかしら・・・」 「私はラクスさんのような有名人とは違いますから ごく親しい人しか写真なんて持っていないと思います」 「ヘリオポリスでお生まれですの?」 「いえ。月です。三年前までは月にいました」 「月・・・そうだわ!アスラン!アスランが写真をお持ちでしたわ! とても大切そうに、いつも持ち歩いておられますの。 キラさまはアスラン・ザラの幼なじみではありませんか?」 キラは、ラクスがアスランと知り合いらしいのに驚いたが アスランが自分の写真をずっと持っていてくれたというのが、とても嬉しかった。 キラが頷いて答えると、ラクスは自分とアスランが婚約していると告げた。 「婚・・・約?」 「父同士が勝手に決めてしまって。 でも、私も彼も、結婚するつもりは無いのですけれど」 「え・・・でも・・・婚約者なんですよね?」 「ふふふ。私たち、共犯者ですの。 今、婚約を破棄しても、次の婚約者を決められるだけなんです。 だから、必要ができるまではこのままにしようと決めましたの」 ニコニコと笑って答えるラクスが、嘘を言っているようには見えない。 ほんとだったら、嬉しい。 だからって私がアスランと結婚できるわけではないけど。 その時、艦内放送が響いた。 「総員、第一戦闘配備。繰り返す、総員第一戦闘配備」 「私は行かなくてはならないので、これで失礼しますね」 キラはラクスの返事を待つことなく、部屋を出てストライクのもとへ急いだ。 *** 「何があったの?」 ストライクのモニターに映るミリアリアに訊ねる。 「ザフト艦二隻が、戦闘速度でこちらに向かってくるの!」 「二隻・・・この前のかしら?」 「それはまだわからないみたい」 違うといい。そうすればアスランと戦わなくて済むもの。 「キラはそのまま待機するように、って」 「わかったわ」 *** 「キラ!ザフト艦からMSが出ました。ストライク出撃してください」 「了解」 ストライクが発進した。 敵MSは、四機ね。 ・・・イージス!デュエル!ブリッツ!バスター! またアスラン、あなたなの! *** next |
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続きはまた明日。 |
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since 2003.09.28 |