思いのままに (本編1話より)


TV本編第1話の終了間際
ストライクの上でキラとアスランがご対面


「アスラン?」
いや、そんなはず・・・
でも・・・

「キ・・・ラ?」

ナイフを振りかざして迫ってきた、紅いパイロットスーツの兵士の動きが止まった。

っ、やっぱりアスランなんだね!
「アスランv 久しぶり〜」

抱きつこうと足を踏み出した瞬間、アスランがMSから崩れ落ちた。
足下で蹲っていた女性兵士が発砲したんだ。
僕は思いっきり、蹴り落とした。

安全な場所へ連れ出そうとしてくれたのは感謝するけど、アスランを撃つなんて許せない!

彼に駆け寄り、そっとヘルメットを外した。

「アスラン、大丈夫?」
よかった、生きてる。でも、意識が無い。
どうしよう・・・早く、お医者に見せないと・・・

辺りを見回しても、もう動いている人は居なかった。
工場内には、炎が拡がっている。
外からは、戦闘しているらしい音がする。

どのみち、警報が出ているから、ここ(ヘリオポリス)ではダメだ。
アスラン、ザフト軍だよね。
きっとコロニーの外に戦艦があるはずだし、そこには軍医もいるはず。
このMSでなら、安全に出られるだろうけど・・・僕にできるかな?
ううん。アスランを助けるためには、やらなくちゃいけない。

とりあえずコックピットを覗いてみるが、シートが一つしかない。
意識の無いアスランを固定できないのは、外で戦闘がなされているのを考えると危険だろう。

もう一機のMSにアスランを乗せて、これで抱えていくほうがいいな。
「アスラン、少しだけ待っていてね」
アスランをMSに乗せ、自分ももう一機に乗り込む。
起動して・・・「何、これ?こんなOSでこれを動かすの?無理だよ!」

いくらなんでも、こんなので僕に動かせるわけがないよ。
書き換えなきゃ、早く・・・・・・・・・・・よし、これで。

アスランの載ったMSを抱え、工場を出て飛び立つ。

「ザフト軍、応答願います!ザフト軍、応答願います!」

「・・・こちら、ザフト軍所属艦ヴェサリウス」
コロニーを出たところで、やっと返答があった。

***ヴェサリウス***

「所属不明のMSから全周波通信です」

「・・・フト軍・・・願い・す・・・ザフト・・・応答願います」

「こちら、ザフト軍所属艦ヴェサリウス」
「あ・・・ザフト軍ですか?よかった。アスランを助けてください!」
「君は誰だね?所属不明のMSに乗っているようだが」
「ヘリオポリスの民間人です。アスランを助けてください。意識が無いんです!」
「民間人がなぜそんなものに乗っている?」
「そんなの後にしてください。撃たれたんです。お医者さん、居ますよね?」
後にできるわけがない。敵かもしれないのだ。
だが、なんだか埒があかない気がするな。
「・・・はぁ。こちらの場所はわかるかね?」
「わからないから困ってるんです!」
「・・・迎えをやるからそこに居なさい」
「早くしてくださいね!」
「・・・」
だれか、ジンで迎えに行ってやれ・・・はぁ。

***

な・・・なんとか、着艦できた。よかった。
そうだ、アスラン!
ハッチを開け、アスランの元へ急いだ。

「アスラン!意識戻ったの?」
「キラ、どうして・・・」
「怪我は?怪我はどう?大丈夫?」
「怪我は大したこと無い。脳震盪を起こしただけだと・・・」

よかったぁ。
思わず、アスランの首に抱きついた。
アスランも背を抱き返してくれる。

「もう、心配したんだよ。声を掛けても起きないし。・・・元気だった?」
「ああ。キラも元気そうだな」
「うんvアスランにまた会えたんだもんvもう離れないよv」
「・・・キラ、性格が変わってないか?」
「そんなことないよv自分に正直になっただけvえへv」

せっかくアスランと久しぶりに話してるのに、後ろからアスランを呼ぶ声がする。
そういえば、ここ、MSの中だっけ、まだ。

「アスラン・ザラ」
「隊長!」
「報告をしろ」
「はっ!彼はキラ・ヤマトといいます。私の・・・恋人です」

ア・・・アスランってばvそんなホントのこと、真顔で言うなんてv

いや、そんなことを聞きたいわけではないだろう・・・(byギャラリー)

「・・・民間人とのことだが?」
「そうです・・・そういえば、キラ。どうしてあそこに居たんだ?」
「え?・・・もちろん、アスランに会うためだよ、きっと!」
「キラ!」
ひしと抱きしめあう二人・・・

隊長を無視して、いいのか?怒ってるぞ・・・(byギャラリー)

「・・・アスラン・ザラ」
「はっ!」
「彼をどうするつもりだ?民間人なら、ヘリオポリスへ戻さなければな」
「なぜですか!やっと会えたんです!ここに置くに決まってます!」
「・・・誰が決めた?」
「私です」
「・・・許可した憶えは無いのだが?」
「許可をお願い致します」
「・・・好きにしろ・・・」
まぁ、地球軍の新型を二機とも入手できたのは彼のお陰だからな。
第一、これ以上話したくないぞ・・・

「キラ!これで、ずっと一緒だv」
「うんvアスランvvv」
またしても、抱きしめあう二人・・・

end
あそこでアスランが怪我していれば・・・
ついでにキラは自分に正直に・・・

ところでマリューさんは、あの時点でキラとアスランの様子に疑問を持たなかったのかな?
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